セッション情報 専修医発表(卒後3-5年)

タイトル 専11:

早期胃癌に対して完全鏡視下噴門側胃切除術を施行した1例

演者 中山 鎮秀(九州大学 臨床・腫瘍外科)
共同演者 上田 純二(九州大学 臨床・腫瘍外科), 大内田 研宙(九州大学 臨床・腫瘍外科), 当間 宏樹(九州大学 臨床・腫瘍外科), 永井 英司(九州大学 臨床・腫瘍外科), 田中 雅夫(九州大学 臨床・腫瘍外科)
抄録 症例は73歳の男性。健診で施行された内視鏡検査でEC junction直下の粘膜に不整な病変を認めたため、当科紹介となった。
当科で施行された胃内視鏡検査では噴門部直下小弯に平坦陥凹型の病変を認め、生検でwell to moderately differentiated adenocarcinomaを認めた。超音波内視鏡検査では、第3層上縁が不整であり粘膜下層への浸潤が疑われた。CT検査では、明らかなリンパ節転移、他臓器転移の所見は認めなかった。以上よりgastric cancer :U Less 0-IIc, cT1b(SM)N0H0P0M0, cStage1Aの診断で、腹腔鏡下(完全鏡視下)噴門側胃切除、食道胃吻合術を行った。
手術所見:以下の5ポートを挿入して手術を行った(臍下部:ハッソン型トロッカー、右季肋部・左側腹部:5mmポート、臍左上方・臍右上方:12mmポート)。定型的に噴門側胃切除術を施行し、リンパ節は1, 2, 3ab, 4sa, 4sb, 7, 8a, 9, 11p, 11dのリンパ節を郭清した。胃・食道の離断にはLinear stapleを用いて体内操作で行った。臍下部の創を約2cm程度上方に延長して、切除標本を体外に摘出した。再建は、Linear stapleを用いて、overlap法で食道と残胃との端側吻合を行った。Linear Stapleの挿入孔は吸収糸を用いた結節縫合で閉鎖した。手術時間は319分、出血量は150gであった。
術後経過は良好で、第7病日に退院となった。
早期胃癌に対して完全鏡視下で噴門側胃切除術を行ったので報告した。完全鏡視下での噴門側胃切除術は、根治性を損なうことなく安全に施行できると考えられた。しかしながら、術者の技量による部分も大きいと考えられ、今後の若手外科医の教育・育成が重要であると考えられた。
索引用語 腹腔鏡下胃切除, 胃癌