セッション情報 一般演題

タイトル 71:

診断に苦慮した糞線虫症の一例

演者 福田 芳生(鹿児島厚生連病院 消化器内科DELIMITER鹿児島大学医学部附属病院 消化器内科)
共同演者 徳重 浩一(鹿児島厚生連病院 消化器内科), 小薗 雅哉(鹿児島厚生連病院 消化器内科DELIMITER鹿児島大学医学部附属病院 消化器内科), 中尾 慎二(鹿児島厚生連病院 消化器内科), 大石 一郎(鹿児島厚生連病院 消化器内科), 宮原 広典(鹿児島厚生連病院 消化器内科), 谷口 鎌一郎(鹿児島厚生連病院 消化器内科DELIMITER鹿児島大学医学部附属病院 消化器内科), 山筋 忠(鹿児島厚生連病院 消化器内科), 中村 勇一(鹿児島厚生連病院 消化器内科), 坪内 博仁(鹿児島大学医学部附属病院 消化器内科)
抄録 患者は55歳男性。主訴は食思不振と倦怠感。5年ほど前から近医にて、急性胃拡張の診断で、入退院を繰り返してきた。平成22年5月28日より同様の症状にて、前医に入院していたが、精査加療を希望され、当院受診される。血液検査では軽度炎症所見を認め、腹部CT検査、腹部超音波検査にて、胃から十二指腸下行脚にかけ著明な管腔の拡張を認めた。十二指腸水平脚から上部空腸にかけては、腸管の浮腫所見が著明であった。当初SMA症候群を疑い、絶食補液、胃管留置にて加療を行った。上部消化管内視鏡検査、経口的ダブルバルーン内視鏡検査では、十二指腸球部から下行脚にかけて管腔拡張と粗造な粘膜を認めた。水平脚は発赤浮腫状で、びらんを伴い、易出血性であった。十二指腸球部、下行脚、水平脚、上部空腸からの生検で糞線虫が認められ、また検便でも虫体および虫卵培養が陽性であった。下部消化管内視鏡検査では全結腸に発赤びらんを認めたが、回腸末端および結腸からの生検では糞線虫は検出されなかった。その後、以前の検査でHTLV-1抗体が陽性であることが判明した。Ivermectin 9mg/bodyを2週間隔で2回投与したところ、症状は軽減した。1ヵ月後の上部消化管内視鏡検査、検便では糞線虫は陰性化していた。後日、血液内科を受診し、ALTくすぶり型と診断された。診断に苦慮し、確定診断まで長期を要した糞線虫症の一例を経験した。HTLV-1抗体陽性であることを考慮し、本疾患を念頭に置くことが、診断に重要と考えられた。若干の文献的考察を踏まえ、報告する。
索引用語 糞線虫症, 画像