| セッション情報 |
シンポジウム1「慢性膵炎をめぐる諸問題-病態・診断・治療まで-」
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| タイトル |
S1-02:慢性膵炎に合併した糖尿病の病態と治療―超速効型インスリンの有用性―
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| 演者 |
木原 康之(産業医科大学医学部第3内科学) |
| 共同演者 |
田口 雅史(産業医科大学医学部第3内科学), 永塩 美邦(産業医科大学医学部第3内科学), 山本 光勝(産業医科大学医学部第3内科学), 原田 大(産業医科大学医学部第3内科学) |
| 抄録 |
【目的】慢性膵炎は進行し、非代償期になると、膵内外分泌機能が低下し、消化吸収不良や糖尿病を発症する。慢性膵炎に合併した糖尿病ではインスリンおよびグルカゴン分泌低下が認められることから、治療にインスリンが用いられるが、低血糖を惹起しやすく、やや高めの血糖値で維持されているのが現状である。超速効型インスリンは速効型に比し持続時間が短く、食間に低血糖を起こしにくい。今回、慢性膵炎に合併した糖尿病患者の膵内分泌機能および超速効型インスリンの有用性について検討した。【方法】(検討1)当科で治療中の慢性膵炎確診例40例を対象とし、糖尿病の合併頻度、治療内容について検討した。 (検討2)長期間(平均35.0ヶ月)超速効型インスリンを投与した慢性膵炎に合併した糖尿病患者5例(CPD群)を対象とし、超速効型インスリンを投与した2型糖尿病患者9例(DM群)(平均54.2ヶ月投与)を対照とし、超速効型インスリンの有用性について検討した。【結果】(検討1)糖尿病を合併した慢性膵炎患者は19例(47.5%)で、空腹時CPRは1.1±0.8 ng/ml(Mean±SD)、ΔCPR=0.9±0.7 ng/ml であった。薬物治療は18例に行われていて、インスリンは12例(66.7P%)に用いられていて、そのうち4例で経口血糖降下薬が併用されていた。消化酵素薬は全例に使用されていた。(検討2) CPD群の超速効型インスリン投与量は0.45単位/kgで、変更前から0.04単位/kg減少し、低血糖は変更前の2.6回/月から0.8回/月に低下し、HbA1cは変更前の8.0%から6.7%に改善した(改善率16.3%)。CPD群のインスリン投与量に占める超速効型インスリンの割合は83.5%であり、DM群の51.8%に比し高かった。【結論】慢性膵炎に合併した糖尿病患者は超速効インスリン変更後にインスリン量が減少し、低血糖の頻度が低下したにもかかわらず、血糖値を改善することが可能であったことから、超速効型インスリンは慢性膵炎に合併した糖尿病患者のインスリン治療に有用である。 |
| 索引用語 |
慢性膵炎, 糖尿病 |