セッション情報 |
一般演題
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タイトル |
102:結腸原発悪性黒色腫の回腸多発皮膚転移の一例
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演者 |
中本 充洋(産業医科大学第一外科) |
共同演者 |
皆川 紀剛(産業医科大学第一外科), 鳥越 貴行(産業医科大学第一外科), 中山 善文(産業医科大学第一外科), 山口 幸二(産業医科大学第一外科) |
抄録 |
消化管原発の悪性黒色腫は食道、直腸肛門部でその95%を占め、その他の消化管の発生は稀である。結腸原発の悪性黒色腫の報告は検索する限り本邦では7例のみである。今回、我々は非常に稀な結腸原発の悪性黒色腫の回腸、多発皮膚転移の一例を経験したので、若干の文献的考察を加えて報告する。 症例は85歳、男性、腹痛、軟便を主訴に近医を受診し、左下腹部に腫瘤を触れたため、精査目的で当科へ紹介となった。当科でのCTではS状結腸、上行結腸、回腸に腫瘤性病変を認め、S状結腸、上行結腸の病変は腸重積を来していた。下部消化管内視鏡検査では、肛門縁から40cmのS状結腸に管腔の2/3を占める2型の腫瘍を認めた。生検を施行したが、悪性所見を認めなかった。注腸造影ではS状結腸の病変より口側腸管の検索は困難であった。 以上より、S状結腸癌、上行結腸癌による腸重積を疑い、手術の方針とした。開腹すると、上行結腸の腫瘍は肝臓へ直接浸潤しており、腸間膜リンパ節にも多数の転移を疑う腫大を認めた。また、腹膜にも播種性病変を認めた。患者は高齢であり、また狭心症発症後で、全身状態も不良であったことより、根治的切除は困難と考え、腸重積を来していた上行結腸、S状結腸の腫瘍切除と、回腸の腫瘍切除術のみを施行した。術後の病理診断では、腫瘍細胞は腫大した類円形核内に大きな核小体を有し、多数の核分裂像を認めた。細胞質内にメラニン色素を認め、悪性黒色腫と診断した。 術後、PET-CTで全身検索したところ、背部、右下腿にもFDGの高集積を認めた。同部位の1cmの黒色の腫瘤を切除したところ、いずれも悪性黒色腫の診断であり、経過等から悪性黒色腫の皮膚転移と診断した。術後5ヶ月現在、外来で経過観察中である。 非常に稀な結腸原発悪性黒色腫の一例を経験し、若干の文献的考察を加え報告する。 |
索引用語 |
悪性黒色腫, 手術 |