セッション情報 一般演題

タイトル 174:

後腹膜線維症の治療後に自己免疫性膵炎を発症したIgG4関連疾患の2症例

演者 下川 雄三(九州大学病態制御内科)
共同演者 肱岡 真之(九州大学病態制御内科), 五十嵐 久人(九州大学病態制御内科), 内田 匡彦(九州大学病態制御内科), 新名 雄介(九州大学病態制御内科), 藤森 尚(九州大学病態制御内科), 中村 太一(九州大学病態制御内科), 大野 隆真(九州大学病態制御内科), 伊藤 鉄英(九州大学病態制御内科), 高柳 涼一(九州大学病態制御内科), 石神  康生(九州大学臨床放射線科学), 清島   圭二郎(九州大学泌尿器科学), 門司 恵介(九州大学泌尿器科学)
抄録 (背景)自己免疫性膵炎は本邦より発信された疾患概念であるが、最近はIgG4関連疾患の膵病変とも考えられている。以前より自己免疫性膵炎の膵外病変の一つとして後腹膜線維症が知られていたが、後腹膜線維症が膵病変に先行した症例はまれであった。今回、先行する後腹膜線維症の治療後に発症した自己免疫性膵炎の2症例を経験したため、若干の考察とIgG4関連疾患に対する最近の知見も含めて報告する。(症例)症例1:67歳男性、主訴は両下腿浮腫。近医・当院泌尿器科で行われた腹部超音波検査・腹部CTで後腹膜線維症と診断され、PSL 40mg/day (BW: 71kg)にて治療を開始。投与開始から徐々にtaperingし約半年で投与を終了となった。自覚症状の再燃・増悪は認めなかったが治療終了後約18ヶ月後に行った腹部CTで、膵尾部に腫瘤性病変を指摘され当科紹介となった。血清学的にはIgG4高値、画像所見では膵尾部の限局性の辺縁不明瞭な腫瘤を認め、ERCP像より自己免疫性膵炎と診断された。その際、後腹膜線維症も残存して認められた。PSL 40mg/dayにて再度治療を開始し、2週間後のCTにて膵尾部腫瘤の縮小傾向が認められた。症例2:67歳男性、主訴は腰背部痛。腎後性の急性腎不全を契機に、当院泌尿器科で後腹膜線維症と診断された。PSL: 50mg/dayにて治療開始し徐々にtaperingし約4カ月で終了となった。腰背部違和感が出現し治療終了後約19カ月後に行われた腹部CTで、膵のびまん性の腫大を指摘され当科紹介となった。血中IgG4高値、画像上も膵頭体部移行部から尾側のびまん性の腫大・膵管の狭細像、組織学的にIgG4陽性細胞の浸潤などを認め、自己免疫性膵炎と診断された。この際症例1と同様に後腹膜線維症も残存して認められた。PSL 40mg/dayにて再度治療開始し、2週間後には血清学的・画像所見上とも膵病変の改善を認めた。
索引用語 自己免疫性膵炎, 後腹膜線維症