セッション情報 | 専修医発表(卒後3-5年) |
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タイトル | 専12:限局型スキルス胃癌の生物学的特性と予後について |
演者 | 立石 昌樹(国立病院機構九州医療センター 消化器センター外科) |
共同演者 | 遠藤 和也(国立病院機構九州医療センター 消化器センター外科), 櫻井 眞人(国立病院機構九州医療センター 消化器センター外科), 上原 英雄(国立病院機構九州医療センター 消化器センター外科), 楠元 英次(国立病院機構九州医療センター 消化器センター外科), 橋本 理沙(国立病院機構九州医療センター 消化器センター外科), 鎌田 和宏(国立病院機構九州医療センター 消化器センター外科), 山口 将平(国立病院機構九州医療センター 消化器センター外科), 池尻 公二(国立病院機構九州医療センター 消化器センター外科) |
抄録 | 【目的】スキルス胃癌は特徴的な急速広範な増殖、浸潤を示し、予後不良である。その発生から病態の完成までも特徴的であり、かなりの年月にわたって肉眼形態学的にほとんど変化を示さない前段階の早期胃癌の時相(stable phase)があり、ある時点から急速に伸展する時相(rapid phase)に移行すると考えられているが、その移行期については多くが不明である。今回我々は、全胃型と限局型(部分型)スキルス胃癌を比較し、限局型が全胃型への移行期の病態であるかどうかを調べることにより、スキルス胃癌の特徴的な伸展について検討した。【方法】1994年7月より2004年12月にかけて、当院にて胃全摘を施行され、術後病理診断にて4型の進行癌(スキルス胃癌)と診断された76例を対象とした。胃を3領域(CMA)に分割し、病変が3領域にまたがるものを全胃型、1領域もしくは2領域のものを限局型と定義し、両群間で臨床病理学的因子、予後について比較検討した。【結果】1)76例中、全胃型は26例(34%)、限局型は50例(66%)であった。また42例は根治度C手術であった。2)全胃型は限局型に比べ、深達度(P<0.025)、リンパ節転移(P<0.028)が高度で、腹膜播種の随伴率も有意に高かった(P<0.01)。3)同時期に切除された4型以外の進行癌408例の5年生存率は53%、限局型は26%、全胃型は4%であった。4)多変量解析において根治度、リンパ節転移、腹膜播種の有無は予後因子であったが、全胃型か限局型かの因子は予後因子とはなりえなかった。【まとめ】限局型スキルス胃癌の生物学的悪性度は、全胃型とは異なっており、全胃型に至る過程の病態であることが示唆された。またスキルス胃癌の伸展において、原発巣の広がりに比例してリンパ節転移や播種が励起されてくる事が考えられた。 |
索引用語 | スキルス胃癌, 予後 |