セッション情報 | 研修医発表(卒後2年迄) |
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タイトル | 研16:カルチノイドと鑑別を要した粘膜下腫瘤様の直腸MALTリンパ腫 |
演者 | 芥川 剛至(佐賀大学附属病院 一般・消化器外科) |
共同演者 | 隅 健次(佐賀大学附属病院 一般・消化器外科), 古賀 靖大(佐賀大学附属病院 一般・消化器外科), 新海 健太郎(佐賀大学附属病院 一般・消化器外科), 政次 俊宏(佐賀大学附属病院 一般・消化器外科), 小林 毅一郎(佐賀大学附属病院 一般・消化器外科), 池田 貯(佐賀大学附属病院 一般・消化器外科), 能城 浩和(佐賀大学附属病院 一般・消化器外科) |
抄録 | 症例は63歳女性。下血を主訴に近医受診。下部消化管内視鏡検査にて直腸Rbに径20mmの表面平滑な隆起性病変認め、当院紹介となった。当院で下部消化管内視鏡検査を再検したところ、既知の隆起性病変は、歯状線から3cmに存在するやや白色調を呈する20mm大の粘膜下腫瘍であり頂部に陥凹を伴っていた。超音波内視鏡検査では、粘膜から粘膜下層に局在する低エコーで充実性の腫瘤であった。直腸カルチノイドを疑いボーリング生検まで施行するもgroup1の結果であった。CTでは、リンパ節腫大や他臓器転移を認めなかった。確定診断目的に経肛門的局所切除を施行した。病理検査では、粘膜下層に2.4x1.7cm大の比較的境界明瞭な腫瘍が認められた。リンパ濾胞周囲に、明るい細胞質を持つ胚中心細胞様の異形細胞がびまん性に増殖していた。筋層への浸潤はみられなかった。B-cellマーカー(CD20、CD79a)陽性、bcl-2陽性であったが、T-cellマーカー(CD3、CD5、UCHL-1)は陰性であった。CD10、CD56、cyclinD1も陰性であり、MALTリンパ腫と診断した。今回我々は、カルチノイドを疑った直腸MALTリンパ腫を経験した。カルチノイドであれば、10mmをこえる場合、リンパ節郭清を伴う腸管切除を検討する必要があるとされる本症例を、下部直腸のカルチノイドとして手術を施行した場合、quality of life大きく損なうところであった。内視鏡下生検で直腸粘膜下腫瘍の診断がつかないこともままあり、疾患によって治療方針は大きく異なることを鑑み慎重に診断・治療をすすめるべきと考えられた。大腸MALTリンパ腫の治療として、外科治療、放射線治療、化学療法、除菌治療など報告されているが、いまだ確立されたものはない。本症例においては粘膜下層に留まっており、断端陰性で切除出来ていたことより、今後は追加治療を行わずに経過観察する予定である。 |
索引用語 | 直腸MALTリンパ腫, カルチノイド |