| セッション情報 | 一般演題 |
|---|---|
| タイトル | 29:有鈎義歯による食道穿孔の1例 |
| 演者 | 喜多 芳昭(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科腫瘍制御学消化器外科学) |
| 共同演者 | 松本 正隆(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科腫瘍制御学消化器外科学), 内門 泰斗(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科腫瘍制御学消化器外科学), 奥村 浩(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科腫瘍制御学消化器外科学), 尾本 至(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科腫瘍制御学消化器外科学), 瀬戸山 徹郎(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科腫瘍制御学消化器外科学), 大脇 哲洋(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科腫瘍制御学消化器外科学), 石神 純也(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科腫瘍制御学消化器外科学), 夏越 祥次(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科腫瘍制御学消化器外科学) |
| 抄録 | 【症例】統合失調症で入院加療中の60歳女性.【現病歴】食事摂取中に嘔吐,口腔内に義歯がないことに気付き,胸部X線写真を撮影したところ食道頸胸境界部に陥入する有鈎義歯を指摘された。診断前医にて内視鏡下摘出を試みるも胃内へ落下させた義歯を引き上げる際に操作困難となり,内視鏡で胸腔内を確認,胸部食道穿孔をきたした。術前精査にて右気胸,胸水貯留,著明な頸部縦隔気腫を認めた。全身状態が落ち着いていたため右開胸による緊急手術を行った。【手術所見】膿性胸水は認めないが,縦郭胸膜の気腫による膨張および混濁した血性胸水を認め,有鈎義歯が食道右壁,左壁でそれぞれ穿孔していた。右壁穿孔部創を延長し慎重に義歯を摘出,左壁,右壁の順に縫合閉鎖を行った。右壁穿孔部,横隔膜上,右胸腔背側にドレーンを留置した。その後開腹操作に移り,経裂孔的に左壁穿孔部にドレーンを留置,また腸瘻造設し手術を終了した。手術時間は288分で総出血量は160mlであった。【術後経過】縫合不全,重篤な感染もなく良好,一期的食道縫合部を内視鏡で確認し狭窄も認めなかった。術後13日目に経口摂取を開始し術後33日目に転院となった。【結語】食道穿孔は縦隔炎,胸膜炎,膿胸などの重篤な合併症を併発し,早期に適切な処置を施さなければ予後不良となる緊急を要す疾患である.治療は患者状態,穿孔の程度により手術・処置の適否を,また予想される穿孔,汚染部位により手術のアプローチ法を決定する必要がある。手術の原則は穿孔部の閉鎖と適切なドレナージであるが,穿孔部の状況,患者状態により大網被覆,食道切除も考慮する必要がある。食道穿孔部位が確認でき,穿孔部の状況が良好であれば,一期的縫合閉鎖も選択肢の一つと考えられた。 |
| 索引用語 | 食道穿孔, 治療 |