セッション情報 | 専修医発表(卒後3-5年) |
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タイトル | 専55:妊娠を契機に急速な増大傾向を示した膵粘液性嚢胞性腫瘍の1例 |
演者 | 小澄 敬祐(熊本大学大学院 消化器外科学) |
共同演者 | 田中 洋(熊本大学大学院 消化器外科学), 高森 啓史(熊本大学大学院 消化器外科学), 阿部 真也(熊本大学大学院 消化器外科学), 中原 修(熊本大学大学院 消化器外科学), 徳永 竜馬(熊本大学大学院 消化器外科学), 宮田 辰徳(熊本大学大学院 消化器外科学), 増田 稔郎(熊本大学大学院 消化器外科学), 近本 亮(熊本大学大学院 消化器外科学), 石河 隆敏(熊本大学大学院 消化器外科学), 別府 透(熊本大学大学院 消化器外科学), 馬場 秀夫(熊本大学大学院 消化器外科学) |
抄録 | 【はじめに】膵粘液性のう胞腫瘍(MCN)は、特徴的組織所見として卵巣様間質の存在であり、エストロゲン受容体(ER)・プロゲステロン受容体(PgR)が染色されることが多い。今回、妊娠を契機に急速な増大傾向を示したMCN症例を経験したので報告する。【症例】33歳女性。妊娠4ヶ月頃に左背部痛を主訴に近医受診。腹部超音波検査にて膵尾部に60mm大ののう胞性腫瘤を認め、腫瘍マーカー(CA19-9、Span-1)の上昇を認め、MCNを疑われた。【治療経過】腹部超音波検査では壁在結節を認めず、妊娠中であったため本人の希望もあり厳重に経過観察とした。腫瘍マーカーは経過観察中も上昇傾向を認めた。腹部造影MRIにて膵尾部に約70mm大ののう胞性病変を認め、内部に隔壁を伴い一部が壁肥厚を認めた。FDG PET-CTでは明らかな充実性分は認めなかったが、脾門部にSUVmax2.38→3.03の異常集積を認めた。また、主膵管の拡張や主膵管との交通は認めず、遠隔転移も認めなかった。出産後16日目MCNに対して、膵尾側+脾合併切除術を施行した。【病理所見】摘出標本は、一部壁肥厚を認めたもの肉眼上壁在結節は認めなかった。組織学的に卵巣様間質成分を認め、Mucinous cystadenomaと診断した。特殊染色にて、ER, PgRはいずれも陽性であった。【考察】MCNはmalignant potentialを有する腫瘍であり、手術による治療が必要である。これまでに、妊娠を契機に診断に至ったMCNの報告は13例あり、妊娠合併例では女性ホルモンの影響により増大傾向を示すこともある。妊娠合併例では腫瘍破裂による急性腹症で発症した症例もあり、手術の時期を決定は重要である。【結語】本症例は、妊娠中に増加したホルモンよりMCNが急速な増大を示した可能性が考えられた。 |
索引用語 | 膵粘液性のう胞性腫瘍, 妊娠 |