セッション情報 一般演題

タイトル 95:

アサコールが有効であった潰瘍性大腸炎の9例

演者 外間 雪野(浦添総合病院消化器病センター内科)
共同演者 屋嘉比 聖一(浦添総合病院消化器病センター内科), 松川 しのぶ(浦添総合病院消化器病センター内科), 末吉 宰(浦添総合病院消化器病センター内科), 小橋川 嘉泉(浦添総合病院消化器病センター内科), 仲村 将泉(浦添総合病院消化器病センター内科), 内間 庸文(浦添総合病院消化器病センター内科), 金城 福則(琉球大学医学部光学医療診療部)
抄録 潰瘍性大腸炎(以下UC)は、難治性の疾患であり、重症例での治療が問題になることも多いが、軽症~中等症の症例でステロイド内服薬や注腸薬に依存性のある症例での寛解導入・維持に苦慮する症例もよく経験される。UCの治療薬として、ステロイド薬やアザチオプリンなどの免疫調整剤が使われるほか、5-ASA製剤のペンタサや、サラゾスルファピリジンなどが使用されているが、昨年10月、新たに5-ASA製剤であるアサコールが製造承認を取得し、その効果が期待されている。5-ASAは、そのまま服用すると小腸上部で大半が吸収されてしまうため、ペンタサでは、5-ASAを腸溶性のエチルセルロースの多孔性被膜でコーティングすることで、小腸から大腸までの広い範囲で放出されるように調節されている。一方のアサコールは、5-ASAにpH7以上で崩壊する高分子ポリマーでコーティングされており、ペンタサに比べて、より下部の消化管(回腸末端~大腸)に到達してから5-ASAが放出される。このことから、UCのなかでも左側結腸型・直腸型の症例に特に有効性が高いと期待されている。
今回我々は、従来の製剤で寛解導入・維持が困難であった10症例に対しアサコールを使用し、9例に有効であったため報告する。症例は男性5例、女性5例、平均年齢49.9歳、全結腸型2例、左側結腸型6例、直腸型3例、すべて軽症から中等症の症例であった。有効例9例ではアサコールを投与後約2週目より症状が改善、寛解導入となり、そのうち2例は再燃したが、7例は現在も寛解維持されている。1例は無効で寛解導入できなかった。アサコール導入前の治療では、頻回に再燃をくりかえし、再燃時にはステロイド注腸・座薬を併用せざるを得ない症例も多かったが、アサコール内服開始後使用せずにすむようになり、患者のQOLの改善に役立ったと思われる。
索引用語 潰瘍性大腸炎, アサコール