セッション情報 | 専修医発表(卒後3-5年) |
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タイトル | 専37:胆管空腸吻合術後繰り返す胆管炎に合併した肝炎症性偽腫瘍の一例 |
演者 | 岡田 倫明(医療法人ロコメディカル 江口病院) |
共同演者 | 小野 尚文(医療法人ロコメディカル 江口病院), 磯田 広史(佐賀大学医学部肝臓・糖尿病・代謝内分泌内科), 江口 有一郎(佐賀大学医学部総合診療部), 尾崎 岩太(佐賀大学医学部肝臓・糖尿病・代謝内分泌内科), 水田 敏彦(佐賀大学医学部肝臓・糖尿病・代謝内分泌内科), 江口 尚久(医療法人ロコメディカル 江口病院), 藤本 一眞(佐賀大学医学部肝臓・糖尿病・代謝内分泌内科) |
抄録 | 【症例】68歳、男性主訴は発熱。【病歴】1987年にC型慢性肝炎を指摘。1990年にIFN開始するも効果がなかった。2002年に胆管炎に対して胆嚢摘出手術施行、その際胆管-空腸吻合術が行われた。その後も胆管炎を繰り返し、その度外来でSBT/CPZ投与されていた。平成22年2月7日から発熱出現。LVFX500mg内服及びSBT/CPZ 2g×1の投与にて解熱したが、エコーにて肝S5-6に腫瘤像と腹水を認め、精査目的に入院。【既往歴】1986年に肝内胆石症に対して肝左葉外側域切除。【現症】腹部は脾腫を認めるのみ。採血上は炎症所見の上昇とPIVKA-2の上昇あり。エコーでは境界不明瞭な等から低エコー域を認め、その中に門脈と考えられる血管の走行を認めた。CTで肝S5-6に径6cm程度の境界不明瞭、内部不均一、血流に乏しい腫瘤像あり。腹部造影エコーで早期相では周囲と同様に染まり、クッパー相では内部が不定形に抜けて見えた。【経過】腫瘍生検を行い退院とした。生検の結果、炎症性偽腫瘍であった。同年4月のCTでは腫瘍は縮小しており、臨床的にも炎症性偽腫瘍と診断した。【考察】炎症性偽腫瘍は線維芽細胞の特徴を示す紡錘形細胞の増殖と、リンパ球や形質細胞を主とする炎症細胞の著名な浸潤からなる病変である。本症例の病理組織でも線維芽細胞の増殖と炎症細胞の浸潤を認めた。また、エコーレベルでは低エコーとして描出されるが、本症例もそれに一致する所見であった。CTにおいては通常単純CTにて通常低吸収域、造影CTにて高吸収域として認められるが、本症例は単純CTで低吸収、造影CTでは内部不均一に造影された。MRIではT1強調画像で低信号、T2強調像で高信号として認められるが、本症例でもそれに矛盾しない所見を認めた。炎症性偽腫瘍の特徴として非特異的炎症性病変であることから、病期により所見が異なることが予想されたが、画像所見からは典型的な炎症性偽腫瘍であったと考えられる。 |
索引用語 | 肝腫瘤, 炎症 |