抄録 |
若手外科系医師の減少に対しては斬新な取り組みが必要である。一方、非手術的治療の進歩に伴い外傷手術症例数が激減したことから外傷外科医の育成を目指した新しい概念のAcute care surgery(ACS)が米国で広まりつつある。そこで、福岡大学病院のACSは、平成23年4月より正式に外科系各科が協力し診療開始予定である。診療内容を全身臓器の外傷だけに止めず急性期や慢性期急性増悪の病態にまで広げ導入し、若手外科医のGeneral surgery修得の基本をなすものと考えている。 現在まで福岡大学病院には1・2次急性期患者の診療を行う部門はなく、今年4月より救命センターと協力し、消化器外科と呼吸器・小児外科で2次急性期外科診療の試験的運用を開始したので紹介する。診療科:脳外科、呼吸器・小児外科、消化器外科、婦人科、整形外科、形成外科、心臓・血管内科業務概要:1.診療所や病院から24時間対応のホットラインによる患者紹介を受け、急性期の外科診療を行う。2.外科系各科で横断的な診療体制を構築し、病院内全診療科の支援を受け診療に当たる。対象患者:全身臓器の外傷および急性期や慢性期急性増悪の病態で入院を必要とし、手術を必要とする可能性のある患者を対象とする。診療概要:1.平成23年4月に正式にACS部門を開設し、上記外科系診療科による2次救急部門を発足する。2.総合診療部、内科系各科、上記以外の外科系各科、精神科などを主な支援診療科とする。3.発足時は患者受け入れ対応医師は消化器外科が中心に指導医となり、外科系各科の医師とで専門医チームを構成し治療や患者振り分けにあたる。ACS部門での修練を希望する卒後3~5年目医師は、指導医や専門医と共に担当医となり、その下にローテーション研修医を配置する。4.各診療科は治療終了後に患者を紹介医師に戻す。 福岡大学病院におけるこの取り組みについて紹介する。 |