セッション情報 一般演題

タイトル 120:

肝細胞癌との鑑別に難渋した膵内分泌腫瘍の多発肝転移の一例

演者 吉原 光江(大分大学医学部 総合内科学第一講座)
共同演者 清家 正隆(大分大学医学部 総合内科学第一講座), 遠藤 美月(大分大学医学部 総合内科学第一講座), 織部 淳哉(大分大学医学部 総合内科学第一講座), 本田 浩一(大分大学医学部 総合内科学第一講座), 吉松 博信(大分大学医学部 総合内科学第一講座)
抄録 【はじめに】膵内分泌腫瘍は比較的発生頻度が低く、各施設での経験数に限りがあるため診療の標準化がすすんで来なかった。しかし近年の局在診断法の進歩に伴い切除例が増加してきている。今回肝細胞癌と膵内分泌腫瘍の肝転移との鑑別が困難であった症例を経験したので報告する。【 症例】 54歳女性、昭和58年にITPに対して脾摘され、輸血の既往あり。同時期に肺梗塞を起し内科に転科し肝障害を指摘された。平成4年に肺梗塞の再発のため2回目の入院。このときにC型肝炎と診断された。平成14年S3、S5に肝腫瘍を指摘され、HCCと診断しTAIを施行した。平成17年にS3に腫瘍を指摘され、平成18年1月にTAIおよびRFAを施行した。平成19年に腹痛にて当院救急外来受診し、精査中に膵尾部にneuroendocrine tumorと思われる腫瘤を認めた。外科的切除の適応と考えられたが、本人の意思にて切除せず、経過観察していた。その後も定期的にMRIなどでHCCおよび膵腫瘍の経過観察を行なっていた。平成22年3月1日のMRIにてS6の病変に増大傾向を認めHCCを疑い精査加療目的にて入院となった。血管造影検査を行なったところCTAで早期濃染、CTAPにてdefectとなる病変を少なくとも7ヶ所認めた。同部位に対してTAI、TAEを施行したが、肝表面の病変に対して治療不十分であったため、RFAの追加を考慮、急激な多発傾向や腫瘍マーカーの動きがないことから確定診断目的にて腫瘍生検を施行したうえで同部位にRFAを行なった。生検結果からneuroendocrine tumorの転移性肝癌と判明した。腫瘍と近接する嚢胞からも細胞診にてneuroendocrine tumorの細胞が検出された。高分化であり腫瘍内科に転科のうえ、サンドスタチンによる加療を開始し、治療継続中である。【結語】膵腫瘤の変化がなく、肝内の腫瘤の変化が目立ったため、HCCと膵内分泌腫瘍の肝転移例の鑑別が不十分であった。文献的考察を含め報告する。
索引用語 ダミー, ダミー