セッション情報 ワークショップ3「消化器疾患に対する低侵襲手術(ビデオ)」

タイトル WS3-02:

腹腔鏡下膵体尾部切除術における内側・外側アプローチ法と自動縫合器による膵液瘻防止策

演者 中村 雅史(九州大学大学院 医学研究院 臨床・腫瘍外科)
共同演者 渡邉 雄介(九州大学大学院 医学研究院 臨床・腫瘍外科), 裴 哲惺(九州大学大学院 医学研究院 臨床・腫瘍外科), 大塚 隆生(九州大学大学院 医学研究院 臨床・腫瘍外科), 高畑 俊一(九州大学大学院 医学研究院 臨床・腫瘍外科), 清水 周次(九州大学大学院 医学研究院 臨床・腫瘍外科), 田中 雅夫(九州大学大学院 医学研究院 臨床・腫瘍外科)
抄録 (はじめに)腹腔鏡下膵体尾部切除術は再建不要であり比較的単純な術式であるが、HALSや小開腹併用といった術式も未だに行われている。これらの理由としては切除技術と膵液瘻が挙げられている。我々は、過去に行った63例の鏡視下膵切除術の経験より完全鏡視下に膵体尾部切除術を施行する上で有用である内側・外側の両アプローチを提唱しているが、今回これらの術式をビデオ提示し膵液瘻防止策についても言及する。(内側アプローチ法)膵体尾部脾切除術で用いている。網嚢腔を開放した後に短胃動静脈と胃膵間膜を切離する。次に膵下縁を切離し離断部の膵を授動し動脈処理後に膵を離断する。離断された膵を翻転し尾側方向へ授動して行き連続的に脾も授動し切除完了する。(外側アプローチ法)脾動静脈温存術式で用いている。大網切離は左胃大網動静脈の手前までに留める。膵下縁を切離した後に膵尾側端を確認し脾動静脈より遊離する。脾動脈近位部をテーピングし出血時のコントロールに用いる。同定した尾部の脾動静脈を指標に膵実質の洞内に埋没した血管を掘り起こす。予定のラインまで膵と脈管を剥離し膵実質を離断する。(膵液瘻防止策)Echelon Greenカートリッジを用いたPFC法(Peri-Firing Compression法)を提唱している。切離部の膵実質をEchelonできわめて緩徐に圧挫して行き完了後3分間圧迫を保持する。この後緩徐にステープラーを作動し、切離後に再度1分把持し切離を終了する。(結果)これらの手技が定型化する以前の11年間で膵切除は累計36例試みられたが、定型化後の1年半では27例と急増した。また、血管温存12例中7例はこの1年半に施行された。PFC法では術後1カ月以内の臨床的膵液瘻(B以上)を経験しておらず、術後約3カ月後の仮性嚢胞形成を1名に認めたのみである。(結語)内側・外側アプローチ法およびPFC法はfeasibilityが高く安全であり腹腔鏡下膵体尾部切除術の普及に寄与すると考えられた。
索引用語 ダミー, ダミー