セッション情報 | 専修医発表(卒後3-5年) |
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タイトル | 専49:下部直腸SM癌に対し、根治的放射線化学療法後に局所切除を行った1例 |
演者 | 東 孝暁(熊本大学大学院 消化器外科学) |
共同演者 | 宮本 裕士(熊本大学大学院 消化器外科学), 林 尚子(熊本大学大学院 消化器外科学), 今村 裕(熊本大学大学院 消化器外科学), 長井 洋平(熊本大学大学院 消化器外科学), 岩上 志朗(熊本大学大学院 消化器外科学), 岩槻 政晃(熊本大学大学院 消化器外科学), 渡邊 雅之(熊本大学大学院 消化器外科学), 馬場 秀夫(熊本大学大学院 消化器外科学) |
抄録 | 【背景】近年、早期直腸癌に対して、術前後の放射線化学療法と局所切除を組み合わせた縮小手術により高い局所制御率が得られている。今回我々は、下部直腸SM癌に対し、根治目的の放射線化学療法を施行後に局所切除を行い、pathological complete response(pCR)を得られた症例を経験したので報告する。【症例】症例は65歳の女性。検診での便潜血反応が陽性のためCFを施行したところ、肛門縁から3cmの部位に2cm大の0-IIa+IIc型の大腸癌(tub1)認めた。術前の精査では深達度はSM深部浸潤が疑われ、遠隔転移や所属リンパ節転移を疑う所見は認めなかった。術前全身状態検査において、冠動脈3枝病変、内頚動脈狭窄症等の合併症を有する事から切除術のリスクは高いと判断し、十分なインフォームドコンセントの後に根治的放射線化学療法を行う方針とした。放射線照射は全骨盤に2Gy/日×20日(計40Gy)と追加局所照射を計26Gy行った。併用化学療法は放射線感受性増強効果が期待できるTS1 100mg/日を放射線照射が行われる平日5日内服し、土日2日休薬するレジメンとした。経過中の有害事象はGrade1の食欲低下および、放射線性腸炎による軽度の下血を認めたが、貧血進行無く治療継続可能であった。また、追加局所照射期間中にGrade3の好中球減少を認めたため、TS1を休薬し、治療を続行した。放射線照射終了時のCFでは著明な腫瘍の縮小を認めるも、病変の遺残を認めたが、治療終了1ヶ月後のCFでは肉芽形成を認めるのみであった。診断的治療目的で、この肉芽形成部に対し内視鏡的局所切除を施行した。病理の結果、粘膜上皮にびらん・肉芽性炎症、粘膜下層に瘢痕様線維化を認めるのみで悪性所見は認めず、pCRの判定であった。【結論】手術リスクのある下部直腸SM癌症例に対する治療法として根治的放射線化学療法も有用である事が示唆された。 |
索引用語 | ダミー, ダミー |