セッション情報 シンポジウム2(消化器病学会・肝臓学会合同)

C型肝炎治療の最前線

タイトル 肝S2-4追:

C型慢性肝炎に対する発癌を考慮した治療戦略

演者 片野 義明(名古屋大大学院・消化器内科学)
共同演者 石上 雅敏(名古屋大大学院・消化器内科学), 後藤 秀実(名古屋大大学院・消化器内科学)
抄録 【目的】1型に対してTelaprevir(TVR)は治療効果の向上が期待されているが、貧血や皮疹などの副作用から、高齢者やHb低値例においては注意を要する。2型に対してはペグインターフェロン(PEGIFN)α+リバビリン(RBV)併用療法が標準治療である。TVR併用療法を含むIFN治療は、発癌抑止を目的として治療戦略を立てる必要があり、今回現時点でのC型慢性肝炎に対するPEGIFNα+RBV併用療法における、治療効果と発癌に関与する因子を解析した。【方法】当院および関連施設においてC型慢性肝炎に対しPEGIFNα2b+RBV併用療法を行い治療効果判定可能な1628例(男性884例女性744例、1型1136例2型492例、平均年齢53.7歳)を対象とし、IL28B遺伝子多型を含めた宿主因子、ウィルス因子と発癌および治療効果との関連性を検討した。【成績】ITT解析でのSVR率、NVR率は1型/2型それぞれ47.5%/74.6%、22.5%/4.1%であった。発癌例は非発癌例に比し、有意に男性、高齢、線維化進展例、非SVR例に多く、1型においてはCore70変異例に多かった。高齢者においてもSVRが得られると有意に発癌は抑制された。SVRに寄与する因子は多変量解析において、1型ではIL28Bが最も有意な因子でその他年齢、γGTP、肝線維化が有意な因子であり、2型では血小板数のみが有意な因子であった。NVRに寄与する因子は、1型ではIL28B、γGTP、年齢が有意な因子であったが、2型では有意な因子はなかった。発癌リスクの高い65歳以上の高齢者あるいはF3-4の肝線維化進展例において、1型においてSVRに寄与する因子は男性、肝線維化軽度、Core70変異無、ISDR変異2以上、γGTP低値、IL28メジャーであり、NVRに寄与する因子は肝線維化高度、Core70変異有、γGTP高値、IL28Bマイナーであった。2型においては有意な因子はなかった。【結論】高齢者においては、1型はIL28Bメジャーの場合は駆除を目的とした治療を目指し、2型は積極的にPEGIFNα+RBV併用療法をすべきと考えられた。
索引用語 C型慢性肝炎, IFN