抄録 |
【目的】自施設でのカテゴリー分類で記録した結果を日本消化器がん検診学会の腹部超音波がん検診カテゴリー基準に合わせ検討した。【方法】2008年4月から2011年3月までに人間ドック、及び巡回検診を受診したのべ223,877例で、要精検者2,302例(要精検率1.03%)発見されたがん症例141例(肝臓60例HCC・CCC含む、胆嚢12例、膵臓28例、腎臓41例)計141例を対象とし、がん検診カテゴリー基準に基づき分類し比較検討した。【結果】自施設でのカテゴリーは検者が、カテゴリー3:がんが疑われる所見や追加検査必要な症例、カテゴリー4:悪性の可能性が高い症例、カテゴリー5:明らかな悪性所見として判定していた。全臓器でのカテゴリーは自施設:学会カテゴリー5は32:56、4は75:74、3は34:11例であった。肝臓は3から4へ移行が多く特に最大径15mm以上で判定4になるケースが多かった(7例)クラスターサインにより4から5へ移行も7例認めた。胆嚢は3、4から5への移行が多く、病変部と壁の付着部位の検討で移行していた(5例)。膵臓は主膵管膵周囲の脈管の途絶を伴うもので4から5に移行されたもの7例認めた。腎臓も中心部エコーの変形で3から4へ、辺縁低エコー帯および内部に無エコー域を認め4から5になるケースが12例あった。【結論】日本消化器がん検診学会のカテゴリー分類によりカテゴリーは大きくなる傾向が見られた。カテゴリー分類を用いることにより、検査技師間、施設間での判定基準の統一性を持たせ、壁構造の細部や腫瘍の内部構造の観察に意識を持って判定することは重要であると考える。 |