セッション情報 |
パネルディスカッション15(消化器がん検診学会・消化器病学会合同)
超音波による癌のカテゴリー判定をめぐって
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タイトル |
検PD15-3:カテゴリー判定を用いた当院人間ドック腹部超音波所見の再評価
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演者 |
西村 重彦(住友病院・外科) |
共同演者 |
川端 聡(住友病院・超音波技術科), 妙中 直之(住友病院・外科) |
抄録 |
【目的】2011年に日本消化器がん検診学会より示された,「腹部超音波がん検診基準」のカテゴリー分類の有用性と問題点を検討するため,当院人間ドックの腹部超音波検査結果をカテゴリー判定を用いて検討した.【対象と方法】対象は2011年1月から12月までの1年間で当院人間ドックを受診した9294人(男性5873人,女性3421人,平均年齢52.8歳).方法は,腹部超音波検診にて発見された肝臓,胆嚢,膵臓の病変について,画像ファイリングシステムに保存された静止画像データから,「腹部超音波がん検診基準」に基づいてretrospectiveにカテゴリー(以下C)判定を行った.【成績】臓器別のカテゴリーの分布では,C-3,4,5の占める割合は, 肝臓2.45%,0.45%,0.01% 胆嚢3.01%,0.28%,0% 膵臓1.79%,0.08%,0.02%であった.発見された悪性腫瘍は肝細胞癌が1例(C-5),胆嚢癌が3例(いずれもC-4),膵臓癌が2例(C-5)であった.当院で肝血管腫と判定された症例(645例)中,C-4となった症例が36例あった.また,当院でアデノミオマトーシスと判定された症例(164例)中,限局性壁肥厚でC-4となった症例が12例あった.膵臓でC-4と判定された7例は何れも当院で膵腫瘍うたがいと診断された症例であった.【結論】「腹部超音波がん検診基準」は観察のポイントが詳細に示されており,教育面でも優れており検者のレベルアップに寄与するものと考えられた.当院人間ドックの要精査率は肝臓・胆嚢・膵臓に限ると3.27%であったが,C-3以上を要精査とすると要精査率は5%を超え,精密検査依頼率が高くなる可能性が示唆された.また,良性疾患と考えられるような症例でも基準に照らし合わせるとカテゴリー4と判定せざるをえない場合があるなど,検討の余地があると考えられた. |
索引用語 |
カテゴリー判定, 腹部超音波がん検診 |