セッション情報 |
パネルディスカッション15(消化器がん検診学会・消化器病学会合同)
超音波による癌のカテゴリー判定をめぐって
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タイトル |
検PD15-4:腹部超音波がん検診で発見された癌症例における判定基準の有用性と問題点
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演者 |
高島 東伸(オリエンタルクリニック) |
共同演者 |
乾 和郎(藤田保健衛生大坂文種報徳會病院・内科), 廣瀬 光彦(オリエンタルクリニック) |
抄録 |
目的:腹部超音波検診で発見した癌症例について本学会-腹部超音波がん検診判定基準-の有用性と問題点を明らかにすることを目的とした。対象:2002年1月から2011年12月までの10年間に肝胆膵、腎領域で発見した癌症例54例(実質発見率0.08%)で、内訳は肝細胞癌8例、転移性肝癌10例、胆管細胞癌2例、胆嚢癌2例、膵癌8例、腎癌24例であった。方法:対象症例のUS所見について当施設による判定と当学会の判定基準で用いるカテゴリー分類(以下、C No)の根拠とした所見を比較検討した。なお当施設では間接的異常所見として胆管、膵管拡張、水腎症、腹腔内リンパ節腫大や診断困難な腫瘤などを再検とし、原因が明らかな間接所見や悪性疾患を考慮する必要のある充実性腫瘍などを精検としている。結果:当施設での判定は壁肥厚を指摘した胆嚢癌1例を除く53例(96.4%)が腫瘍あるいは疑いで悪性疾患を強く疑う所見であった。本学会の判定基準から見ると肝細胞癌は8例ともに15mm以上あるいはhaloを認めC4であった。胆管細胞癌はクラスターサイン、胆管の断裂を1例づつに認めともにC5であった。転移性肝癌では脈管の断裂を伴うC5が2例、多発性のC4が8例であった。胆嚢癌は2例ともに限局性壁肥厚を認めC4であった。膵癌では主膵管の途絶を伴うC5が4例で、低エコー腫瘤のC4が4例であった。腎癌では辺縁低エコーあるいは内部無エコー域を認めたC5が14例、嚢胞に充実部分が伴うC4が2例、高エコーあるいは低エコーの充実性腫瘤としたC3が8例であった。以上のように腎臓でC3とした8例を除く46例(85.2%)がC4、C5であった。考察:癌症例においてC4以上が85%であったことから専門医不在でのUS所見の拾い上げにおいてカテゴリー分類の有用性が期待できる。当施設では判定医が消化器内科医であり、肝胆膵領域では従来の判定方法で問題はないと考えられたが、腎臓においてはC4,5に当たらない充実性病変に対する判定基準についての今後の検討が必要と考えられた。 |
索引用語 |
腹部超音波がん検診, 判定基準 |