セッション情報 シンポジウム2(消化器病学会・肝臓学会合同)

C型肝炎治療の最前線

タイトル 肝S2-5追:

1型高ウイルス量のC型慢性肝炎に対するペグインターフェロンα-2a、α-2bとリバビリン併用療法の無作為化比較試験

演者 五藤 忠(東京大大学院・消化器内科学)
共同演者 吉田 晴彦(東京大大学院・消化器内科学), 小池 和彦(東京大大学院・消化器内科学)
抄録 【目的】DAAを含む3剤併用療法の時代が到来したが、高齢化した我が国においては3剤併用療法が適応とならない症例も多い。ペグインターフェロン(PEG-IFN)α-2aとPEG-IFNα-2b、2種の製剤とリバビリンの併用療法につき、その治療効果、安全性に関して、日本人で比較検討した報告はない。そこで2007年11月に両製剤とRBV併用療法の有用性、安全性を検討する無作為化比較試験を計画(UMIN登録000000897)した。【方法】セロタイプ1型、高ウイルス量(TaqMan PCR法 5 logIU/ml以上)のC型慢性肝炎(HBsAg陰性)患者を対象とした。基準に合致した症例をPEG-IFNα-2a 180μg・RBV 600~1000 mg(PEG-IFNα-2a群)またはPEG-IFNα-2b 1.5μg/kg・RBV 600~1000 mg併用(PEG-IFNα-2b群)48週投与に、ランダムに割付けた。12週時点でウイルス陽性の場合には72週投与を標準とした。投与終了24週後のウイルス陰性化、SVR(sustained virologic response)率を主要評価項目とした。さらにRVR(rapid virologic response)・EVR(early virologic response)や安全性を検討した。2010年11月末にエントリーを終えた。【成績】登録症例数は18施設235例、平均年齢57.5歳、女性が59.5%を占めた。PEG-IFNα-2a群115人、PEG-IFNα-2b群120人。RVR率、EVR率はそれぞれPEG-IFNα-2a群で19%、59%、PEG-IFNα-2b群で10%、46%と、前者でやや高い傾向がみられた(p=0.06, 0.050)が有意差を認めなかった。SVR率はそれぞれ58%、44%で有意差を認めた(p=0.026)。48週投与/72週投与のSVR率は、PEG-IFNα-2aでそれぞれ59%、56%、PEG-IFNα-2b群はそれぞれ43%、45%であり、48週投与において、PEG-IFNα-2a群でSVR率は有意に高かった(p=0.038)。有害事象による中止例は、前者で6例、後者で5例と、同等であった。【結語】PEG-IFNα-2a・RBV併用療法のSVR率は、PEG-IFNα-2b・RBV併用療法に比べて、有意に高く、また安全性は同等と考えられた。
索引用語 C型慢性肝炎, ペグインターフェロン