セッション情報 パネルディスカッション16(消化器外科学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)

上部消化管癌に対する鏡視下手術の長期成績

タイトル 消PD16-3:

pStageII, III食道癌に対する胸腔鏡下食道切除術の長期成績

演者 竹村 雅至(兵庫医大・外科(上部消化管外科))
共同演者 東野 正幸(南大阪病院・外科), 藤原 有史(大阪市立十三市民病院・外科)
抄録 胸腔鏡下食道切除術は本邦に導入後10年以上が経過し多数の施設で施行されるようになり長期経過例も増加してきているが、施設ごとの症例数が少なくその適応に関しても様々なこともあり長期成績に関しての報告は少ない。我々は以前より胸腔鏡下食道切除術を標準術式として、進行食道癌に対しても適応してきたが、今回2000年以降に本術式を施行した症例を対象としてその長期成績について検討した。(対象と方法)2000年1月から2009年12月までに左側臥位胸腔鏡下食道切除術を施行した症例のうち、病理組織学的な進行度がII または IIIであった164例を対象とし、手術因子・術後合併症・生存率および再発形式について検討した。(結果)対象の平均年齢は 64歳で、男性:133例、女性:31 例であった。腹部操作も24例で腹腔鏡下に行った。占居部位は、Ut:16例・Mt:87例・LtAe:61例で、深達度はpT1b:29例・pT2:21例・pT3:110例・pT4:1例であった。pStage II:78例、pStage III:86例であった。平均の手術時間:403分、出血量は779gで、胸部のそれは185分、373gであった。術後合併症として最も多かったのは縫合不全(27例:16.5%)で、次いで反回神経麻痺(21例:12.8%)であった。肺炎は9例(5.4%)のみであった。平均郭清リンパ節個数は40.8個で、平均転移個数は2.1個であった。リンパ節転移は116例に認め、リンパ管侵襲・静脈侵襲はそれぞれ53例、28例に認めた。再発形式は、リンパ節:35例、血行性:30例、播種:5例で、他癌死:2例と長期経過後の肺炎での死亡が6例あった。全例の3年・5年生存率は55.6%、45.2%で、StageII:68.2%、57.1%・Stage III:44.8%、35.2%(p<0.01)であった。生存率は深達度別、リンパ節転移の程度別に差を認めた。(結語)胸腔鏡下食道切除術の長期治療成績は、開胸術と比べても遜色無く、呼吸機能の温存により術後長期経過後の肺炎による死亡を減少させることが可能である。
索引用語 胸腔鏡下食道切除術, 食道癌