セッション情報 研修医発表(卒後2年迄)

タイトル 研57:

関節リウマチに対しPSL、エタネルセプト投与中に穿孔を合併した結腸憩室炎の1例

演者 岡原 徹(国家公務員共済組合連合会 浜の町病院 消化器内科)
共同演者 具嶋 正樹(国家公務員共済組合連合会 浜の町病院 消化器内科), 松坂 紀幸(国家公務員共済組合連合会 浜の町病院 消化器内科), 瀬尾 充(国家公務員共済組合連合会 浜の町病院 消化器内科), 許斐 裕之(国家公務員共済組合連合会 浜の町病院 外科)
抄録 症例は64歳、男性。2003年より関節リウマチ(RA)で整形外科通院中であった。2005年よりPSL及びNSAIDs内服、2006年よりMTX内服、エタネルセプト皮下注を行っていた。2011年2月18日に腹痛と腹部膨満感を認め、近医受診。WBC 15900/μl、CRP 1.7mg/dlと軽度炎症所見あり、CTRX投与で症状軽快した。4月15日頃より腹痛再燃し、症状改善しないため、4月19日当院救急外来受診。下腹部圧痛、37℃台の発熱、採血でWBC 11800/μl、CRP 8.2mg/dl、腹部CT検査でS状結腸に壁肥厚と周囲脂肪織混濁を認め、結腸憩室炎と診断し、当科入院となった。入院後、絶食、CTRX投与などで保存的治療を開始したが、4月21日より腹痛増悪し、嘔吐も出現、採血でCRP 28.3mg/dlと上昇しており、結腸憩室炎の増悪と考え、腹部造影CTを施行した。画像上、小腸拡張とS状結腸周囲に気泡を伴う腹水貯留を認め、結腸憩室穿孔と診断し、同日緊急手術となった。術中所見で炎症によるS状結腸の萎縮、癒着と周囲に膿性腹水の貯留を認め、上行結腸に人工肛門を造設した。入院中PSL投与は継続したが、5月9日よりエタネルセプト再開し、術後の経過も良好であり、5月17日退院となった。退院後よりMTXも再開したが、現在症状再燃なく経過している。本症例はRA治療中に結腸憩室炎、及び憩室穿孔を合併したが、近年RAに対し生物学的製剤やPSL投与中に結腸憩室穿孔を合併した症例が報告されている。また炎症性腸疾患など消化管疾患においてもPSLのみならず、生物学的製剤を使用することが多くなっており、若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 結腸憩室炎, エタネルセプト