セッション情報 シンポジウム2「慢性肝炎治療の現況」

タイトル S2-01:

C型慢性肝疾患セログループ2型におけるPeg-IFNα2b・ribavirin併用療法の治療効果に寄与する因子の検討 -長崎肝疾患研究会(NASLD)による多施設共同研究-

演者 田浦 直太(長崎大学病院 消化器内科)
共同演者 市川 辰樹(長崎大学病院 消化器内科), 宮明 寿光(長崎大学病院 消化器内科), 柴田 英貴(長崎大学病院 消化器内科), 中尾 一彦(長崎大学病院 消化器内科)
抄録 【目的】C型慢性肝疾患セログループ2型に対してPeg-IFNα2b・ribavirin併用療法を行うことで約70-80%のウイルス学的著効(SVR)が得られると報告されている。今回セログループ2型症例におけるSVRの予測因子について検討を行った。【対象・方法】長崎肝疾患研究会(NASLD)参加施設においてC型慢性肝疾患セログループ2と診断し、2005年12月より2009年5月までの期間Peg-IFNα2b・ribavirin併用療法を導入された171例の内、効果判定が可能であった100例を対象とした。背景因子及び検査項目の中央値は以下のとおりである。男性54例(54%)、女性46例(46%)、診断時年齢の中央値57歳、BMI23、慢性肝炎93例(93%)、肝硬変7(7%)、HCV core抗原量3098 fmol/l、ALT値52IU/l、総コレステロール値177mg/dl、γ-GTP値35IU/l、白血球数5100/μl、血小板数20.4万/μlであった。【結果】SVR率は、全症例中74症例(ITT;74%)であった。これらの症例でロジスティック解析による多変量解析を行ったところSVRに寄与する因子は、総コレステロール値≧177 mg/dl(p=0.015; RR 18.59)のみであった。SVR群と非SVR群にわけて総コレステロール値及びLDLコレステロール値について検討したところ、SVR群では総コレステロール値183mg/dl、LDLコレステロール値109 mg/dlであったのに対し、非SVR群では各々163mg/dl、88mg/dlと低い傾向が見られた。(総コレステロールp=0.055; LDLコレステロール p=0.019)【結論】LDLコレステロールレセプターはC型肝炎ウイルスの複製に関与していることが知られている。C型慢性肝疾患セログループ2型におけるPeg-IFNα2b・ribavirin併用療法において結成コレステロール値がSVRの予測因子である可能性が考えられた。
索引用語 HCV, コレステロール値