セッション情報 パネルディスカッション16(消化器外科学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)

上部消化管癌に対する鏡視下手術の長期成績

タイトル 外PD16-5:

胃癌に対する腹腔鏡下胃切除術の成績

演者 谷村 愼哉(がん研有明病院・消化器外科DELIMITER大阪市立総合医療センター・消化器外科)
共同演者 比企 直樹(がん研有明病院・消化器外科), 東野 正幸(大阪市立総合医療センター・消化器外科)
抄録 【目的】胃癌に対する腹腔鏡下胃切除術の治療成績および適応拡大の妥当性について検討した。【対象および方法】1998年3月から2012年3月の間に1090例の腹腔鏡下胃切除術を行った。このうち進行癌症例は332例で、術式別では幽門側胃切除(LADG):820例、噴門側胃切除(LAPG):61例、胃全摘(LATG):209例であった。(平均観察期間:5.2年)。手術適応は原則としてsT2N1以下とし、早期癌ではD1+リンパ節郭清、進行癌ではD2郭清を行った。【結果】LADG820例における平均手術時間は247分と開腹術に比べて長く、出血量は140mlと少量で、術後在院日数は11.7日と短縮がみられた。1090例全例の累積5年生存率は93.3%で、進行度別(規約第13版)ではStageIA:99.5%、StageIB:94.6%、II:86.6%、IIIA:60.5%、IIIB:37.4%であり、進行癌332例では全例:81.8%、StageIB:97.2%、StageII:87.9%、StageIIIA:59.9%、StageIIIB:53.8%であった。major complicationとして縫合不全がLADG5例(0.6%)、LAPG2例(3.3%)、LATG4例(1.9%)、十二指腸断端瘻がLADG2例(0.2%)、LATG2例(1.0%)で、膵液瘻はLADG8例(1.0%)、LATG4例(1.9%)であった。【結語】retrospectiveな検討において腹腔鏡下胃切除術のsT2N1以下の胃癌に対する治療成績はほぼ良好であった。現在、早期癌を中心に適応を限定する施設が多いが、RCTでのエビデンスの集積後一部の進行癌への適応も十分可能と思われる。
索引用語 胃癌, 腹腔鏡下胃切除術