セッション情報 | シンポジウム2「慢性肝炎治療の現況」 |
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タイトル | S2-06:C型慢性肝炎に対するスタチン+EPAアドオン療法の効果 |
演者 | 国府島 庸之(国立病院機構九州医療センター 消化器内科・臨床研究センター) |
共同演者 | 山崎 晃裕(国立病院機構九州医療センター 消化器内科・臨床研究センター), 中村 吏(国立病院機構九州医療センター 消化器内科・臨床研究センター), 吉本 剛志(国立病院機構九州医療センター 消化器内科・臨床研究センター), 福嶋 伸良(国立病院機構九州医療センター 消化器内科・臨床研究センター), 福泉 公仁隆(国立病院機構九州医療センター 消化器内科・臨床研究センター), 矢田 雅佳(麻生飯塚病院 肝臓内科), 河邉 顕(国立病院機構九州医療センター 消化器内科・臨床研究センター), 水谷 孝弘(国立病院機構九州医療センター 消化器内科・臨床研究センター), 原田 直彦(国立病院機構九州医療センター 消化器内科・臨床研究センター), 武冨 紹信(九州大学大学院 消化器総合外科学), 前原 喜彦(九州大学大学院 消化器総合外科学), 遠城寺 宗近(福岡大学 薬学部 免疫・分子治療学), 中牟田 誠(国立病院機構九州医療センター 消化器内科・臨床研究センター) |
抄録 | 【目的】C型肝炎感染肝では脂質代謝の異常を来しており、この変化はC型肝炎ウイルスの増殖に深く関連している。脂質代謝異常に基づく治療として、スタチンの併用がSVRを増加させるとの報告がなされている。我々は、2008年より標準的なPegIFN+RBV療法にピタバスタチンとEPA のアドオン療法を行っており、今回、それ以前に施行した標準療法とアドオン療法の治療効果について比較検討を行った。 【方法】2005~2007年に施行した標準療法(n=238)と2008年以降アドオン療法を開始し効果判定が終了した(n=139)症例についてIL-28B遺伝子多型をふまえたSVR率について検討し、治療開始前の生化学検査値、ウイルス学的因子等SVRに関与する因子について解析を行った。また、レプリコン細胞を用いて、ピタバスタチンとEPAのウイルス感染と排除に関与する遺伝子群への影響について検討を行った。 【成績】Genotype 1b高ウイルス群では、アドオン療法はITT解析で30% vs 55%, p<0.0001と有意にSVRを向上させた。一方、Genotype 2a/2b高ウイルス群では明らかな効果を認めなかった(81% vs 75%)。1b高ウイルス群に限定すると、IL-28Bの遺伝子多型Major例においてもアドオン療法は有効であったが(56% vs 64%)、Minor例において6% vs 39%, p=0.013と有意に著効率が増加した。レプリコン細胞にピタバスタチンとEPAを作用させると、相加的にウイルス量は減少した。ピタバスタチンは自然免疫系の遺伝子群の発現を増加させるとともに、肝細胞へのウイルス侵入に関与するLDL-Rの発現も増加させたが、EPAはLRL-Rの発現を抑制した。 【結論】ピタバスタチンとEPAを併用したアドオン療法はPegIFN+RBV治療、中でも特に治療が困難なIL-28B Minorの症例において効果を発揮した。その作用機序としては、ピタバスタチンによる自然免疫系の賦活に加え、EPAによるウイルスの再感染の抑制が考えられた。 |
索引用語 | PegIFN+RBV療法, dd on |