セッション情報 | ワークショップ6「難治性肝胆膵疾患に対する治療」 |
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タイトル | WS6-06:急性膵炎後合併症の治療に難渋した3症例の検討 |
演者 | 永松 秀康(大分赤十字病院) |
共同演者 | 福地 聡(大分医療センター 消化器科), 占部 正喜(大分赤十字病院), 高橋 健(大分赤十字病院), 上尾 哲也(大分赤十字病院), 成田 竜一(大分赤十字病院), 石田 哲也(大分赤十字病院), 清家 正隆(大分大学 第一内科) |
抄録 | 【目的】今回我々は、治療に難渋した急性膵炎後の仮性嚢胞に関し検討を行った。【対象及び結果】症例1は、51歳の男性で、アルコール性膵炎の診断で入院となった。予後因子5点、造影CT gradeでgrade3の重症膵炎で、第55病日に感染性仮性嚢胞に対し、前腹壁直下と後腹膜の2か所より経皮的ドレナージを行った。当初、ドレナージ不十分で、第67病日からは、ドレーン口径の大きい、Ring-Maclean drainage sump tubeに交換した。その後、仮性嚢胞は著明に縮小し、無事退院した。症例2は、76歳の男性。敗血症性ショック、横紋筋融解による急性腎不全に対する持続的血液濾過透析後に重症急性膵炎を発症した。38度以上の発熱が持続し、感染性膵仮性嚢胞を疑い、経胃的超音波内視鏡下嚢胞ドレナージを行った。嚢胞内容物は膿性ではなく、出血を伴う灰白色の残渣物質であった。その後も解熱せず、第95病日に造影CTで膵頭部に仮性嚢胞内の動脈瘤破裂を指摘された。コイル塞栓により、一時的に止血されたが、第107病日に仮性動脈瘤が再発し、止血コントロール困難で、第111病日に死亡した。病理解剖の結果、急性壊死性膵炎に伴う仮性嚢胞、仮性動脈瘤と診断された。症例3は、73歳男性で、膵嚢胞性病変の精査目的で施行したERCP後に急性膵炎を発症した。予後因子1点、CT gradeでgrade1の軽症と診断し、保存的治療で改善したが、退院後74日目に膵仮性嚢胞内の動脈瘤破裂で緊急入院となった。コイル塞栓により止血できたが、術後4日目にCTで感染性仮性嚢胞が疑われた。経皮的ドレナージで一時的効果はみられたが、発熱が再燃したため、十二指腸に形成された仮性嚢胞の瘻孔部より内視鏡的にドレナージを追加した。その後、仮性嚢胞は縮小し、無事に退院した。【考察及び結語】仮性嚢胞の治療に際しては、感染や膵炎の鎮静化の観点からも、複数のドレナージ経路を確保する必要性があると思われた。また、嚢胞内容物から、壊死性膵炎など重篤な病態が疑われる際は、外科的治療も検討する速やかな判断が必要と思われた。 |
索引用語 | 急性膵炎, 膵仮性嚢胞 |