セッション情報 シンポジウム2「慢性肝炎治療の現況」

タイトル S2-02:

C型慢性肝炎症例に対するペグインターフェロン+リバビリン48週間治療効果規定因子としてのIL28B遺伝子多型とHCV-Core70変異の解析

演者 渡邊 洋(福岡赤十字病院・肝臓内科)
共同演者 田中 崇(福岡赤十字病院・肝臓内科), 吉兼 誠(福岡赤十字病院・肝臓内科), 向坂 彰太郎(福岡大学医学部 消化器内科)
抄録 【目的】Serotype1かつ高ウイルス量のC型慢性肝炎症例に対するペグインターフェロン+リバビリン(PEG-IFN+RBV) 48週間治療により約50%の症例にSVRが得られているが、その治療効果は様々な生体側、ウイルス側因子により規定されている.今回我々は、生体側因子としてIL28B遺伝子多型を、ウイルス側因子としてHCV-Core70変異を中心に解析したので報告する.【対象・方法】対象は2004年12月から2011年8月の期間、当科でPEG-IFN+RBV 48週間治療を導入したserotype1かつHCV-RNA 5 LIU/ml以上のC型慢性肝炎329症例中、効果判定可能な274症例である. HCV viral dynamicsは、治療開始4週時HCV-RNA陰性をRVR、治療開始4週時HCV-RNA陽性、12週時陰性をcEVR、治療開始4週、12週時HCV-RNA陽性、12週時2 log 以上減少をpEVR、治療開始4週、12週時HCV-RNA陽性、12週時2 log 未満減少をNon EVRと定義した.治療効果判定は、治療終了後24週後にHCV-RNA持続陰性化を認めたものを SVR、それ以外をNRとし、PP解析とITT解析を施行した.IL-28B遺伝子多型(SNPs)はrs8099917のSNPsをインベーダー法でTT, TG, GGとして分類した.【成績】1. セログループ 1 かつ高ウイルス量のC型慢性肝炎症例に対するPEG-IFN+RBV 48週間治療によりPP解析で60%、ITT解析で49%の症例にSVRが得られた. 2. SVRを規定する因子として、 HCV-RNA陰性化時期とIL28B-SNPs、HCV-core 70変異の3因子が抽出された.3. IL28B-SNPs が non-TT で HCV-RNAが4週時陽性症例のSVRは、TT と比較し有意に低率であった.4. HCV-core 70 が wild であっても non-TTの SVRは TT と比較し有意に低率であった.【結語】IL28B-SNPs とHCV-RNA陰性化時期、HCV-core 70変異の3因子はSVR予測に有用な因子であり、これらの組み合わせによる解析で、SVRが低率になる可能性の高い症例は、72週間延長投与や次世代のプロテアーゼ阻害薬導入を検討すべきと考えられた.
索引用語 IL28B遺伝子多型, HCV-Core70変異