セッション情報 |
一般演題
|
タイトル |
013:胃過形成性ポリープより発生した胃型高分化型腺癌の1例
|
演者 |
卜部 繁俊(北松中央病院) |
共同演者 |
高森 謙一(北松中央病院), 杉原 甫(高邦会高木病院) |
抄録 |
症例は73歳女性。高血圧症等にて外来フォロー中、平成22年9月、GISにて切除適応病変を含む胃多発性ポリープを指摘され、平成23年3月、2か所の病変に対してEMR施行された。そのうち1か所は過形成ポリープと診断され、別の1か所も同様の過形成ポリープの所見が見られたが先端部の一部に上皮の小型管状増殖が見られ、免疫染色でMIB-1指数80%以上の細胞増殖能を有し、MUC5c・MUC6ともに陽性であり、胃型高分化型腺癌と診断された。腫瘍は断端陰性治癒切除と評価され、現在も外来経過観察中である。胃過形成性ポリープの癌化率は1~3%と報告されており、形態的には20mm以上のもの、増大傾向が強いもの、凹凸不整・粗大顆粒状の表面構造を有し、白色粘液付着および出血を認めるもの、発赤の目立つ陥凹面を有するものなどに癌化の頻度が高いとされる。更に胃癌はその細胞粘液形質から、胃型・腸型・混合型・分類不能型に大別されるが、区別を要する理由としては、胃型は腸型に比し、早期から浸潤傾向が強く、リンパ節転移を合併する症例も認められ、生物学的悪性度が高いことと、低分化型癌化傾向を示すこと、その割に組織学的に細胞異型・核異型が目立たず病理組織診断が困難な場合があることなどが挙げられる。このような理由から胃ポリープは形態や細胞異型によっては癌合併を考え、積極的に治療的診断目的の切除を考慮する必要があると考えられるが、特に胃型高分化型腺癌は内視鏡的・病理組織学的に診断が容易でない場合や境界不明瞭なものも多く、更に一部に未分化型癌が混在することもあるため、内視鏡的切除には注意が必要である。今回我々は過形成ポリープの一部から胃型高分化型腺癌が発生した症例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する。 |
索引用語 |
胃型高分化型腺癌, 胃過形成性ポリープ |