セッション情報 一般演題

タイトル 136:

十二指腸癌術後の脾腎シャントによる肝性脳症に対しB-RTOを施行した1例

演者 笠木 勇太(九州大学 消化器・総合外科)
共同演者 佐伯 浩司(九州大学 消化器・総合外科), 赤星 朋比古(九州大学 消化器・総合外科), 川崎 淳司(九州大学 消化器・総合外科), 安藤 幸滋(九州大学 消化器・総合外科), 沖 英次(九州大学 消化器・総合外科), 大賀 丈史(九州大学 消化器・総合外科), 武冨 紹信(九州大学 消化器・総合外科), 富川 盛雅(九州大学 消化器・総合外科), 掛地 吉弘(九州大学 消化器・総合外科), 調 憲(九州大学 消化器・総合外科), 前原 喜彦(九州大学 消化器・総合外科)
抄録 【症例】50歳代女性【病歴】2009年5月に原発性局所進行十二指腸癌の診断にて、CDDP+TS-1の術前化学療法を2コース行った後、膵頭十二指腸切除術を施行された。術後はTS-1の内服による補助化学療法を行われ、再発なく経過していたが、2010年12月頃より倦怠感や食思不振、るいそうの出現があり、加療のため入退院を繰り返すようになっていた。2011年4月、自宅内で意識レベルの低下を認めたため当院に緊急搬送される。【現症】来院時JCS 2と軽度の意識障害があり、著明なるいそうを認めた。【検査・画像所見】肝機能は正常であったが、血清アンモニア値は221μg/dlと上昇、腹部造影CTでは顕著な脾静脈と左腎静脈のシャントを認めた。頭部CTおよびMRIでは頭蓋内に明らかな器質的な変化を認めず、脾腎シャントを介した大循環短絡による肝性脳症のため、意識障害を起こしたと考えられた。【治療】肝性脳症に対し分枝鎖アミノ酸製剤の輸液、およびラクツロースの内服を開始し保存的加療を行った。症状の改善を待ち、短絡路に対してバルーン塞栓下逆行性経静脈塞栓術(B-RTO:Balloon occluded-Retrograde Transvenous Obliteration)を第13病日に施行した。その後、アンモニア値は正常化し、全身状態の改善を認めたため第25病日に療養のため転院となった。【考察】本症例では、術前より軽度の脾腎シャントを認めていたが、術後経過とともにシャント血管が徐々に増大していた。腹部手術を機に、何らかの血行動態の変化が起きたため、体循環短絡路を介する血流が増加したことによって肝性脳症を引き起こしたと考えられた。また、このような開腹術の既往がある症例で、B-RTOによる塞栓術は有効な手段であり、良好な結果を得られた1例であった。
索引用語 B-RTO, 脾腎シャント