セッション情報 一般演題

タイトル 068:

IgG4関連胆管炎の1例

演者 伊藤 祐輝(光晴会病院)
共同演者 高原 郁子(光晴会病院), 中鋪 卓(光晴会病院), 池田 真帆(光晴会病院), 大畑 一幸(光晴会病院), 柴田 雄一(光晴会病院), 大坪 俊夫(光晴会病院), 中尾 一彦(長崎大学)
抄録 症例73才男性。2010年11月黄染尿のため近医受診、血液検査にてT.bil 3.35mg/dl 、AST 193IU/l、ALT 397IU/l、γ-GTP 509IU/lと肝機能異常を認め、腹部CTにて膵頭部腫大、胆嚢壁の全周性肥厚、debris貯留、軽度胆管拡張を指摘されたため、12/20精査加療目的に当科紹介された。来院時T.bil 1.1mg/dl、AST 66IU/l、ALT 137IU/l、γ-GTP 416mg/dlと改善がみられたが、12/25 T.bil 2.7mg/dl、AST 619IU/l、ALT 695IU/l、γ-GTP 1010mg/dlと増悪し、腹部CTにて両側肝内胆管から下部総胆管の拡張増悪、肝内胆管から総胆管・Vater乳頭部のびまん性壁肥厚、膵頭部腫大、腎下部腹部大動脈から両側総腸骨動脈遠位部にかけてほぼ均一に造影される全周性軟部組織を認めた。IgG 2218mg/dl、IgG4 799mg/dlと高値であり、以上からIgG4関連疾患が疑われた。2011/1/5 精査加療目的に当科入院となった。入院時、身長162.9cm、体重59.9kg、血圧143/84mmHg、脈拍数89/min 整、体温37.0℃、理学所見に異常を認めなかった。1/6 ERCP施行し、下部総胆管および膵頭部主膵管の一部に狭窄を認めた。下部総胆管狭窄部は長さ14mmでその壁は比較的smoothであり、胆汁細胞診はClass2だった。血清IgG4が高値でありCT上膵頭部腫大を認め、かつ後腹膜線維症の合併も疑われ、ERCPにて胆管壁が比較的smoothな狭窄所見が指摘されたため、以上からIgG4関連胆管炎が強く疑われた。1/12退院後、悪性疾患の可能性が否定できないことを本人・家族に説明・納得のうえ、2/4よりPSL 30mg/日開始した。肝機能異常は改善(2/16 T.bil 1.0mg/dl、AST 16IU/l、ALT 36IU/l、γ-GTP 258mg/dl)し、2/18 PLS 20mg/日へ減量した。その後黄疸・腹部症状なく全身状態安定した。5/20施行の腹部CTでは、治療開始前に指摘された腹部CT異常所見はいずれも改善を認めた。5/26 PLS 5mg/日まで漸減し、7/21現在T.bil 1.3mg/dl、AST 21IU/l、ALT 19IU/l、γ-GTP 23IU/lであり、症状とともに全身状態安定している。
索引用語 IgG4, 胆管炎