セッション情報 一般演題

タイトル 091:

PEG-IFNα2a単独投与にて慢性化を回避できたC型急性肝炎の1例

演者 中鋪 卓(光晴会病院)
共同演者 伊藤 祐輝(光晴会病院), 池田  真帆(光晴会病院), 大畑 一幸(光晴会病院), 柴田 雄一(光晴会病院), 大坪 俊夫(光晴会病院), 中尾 一彦(長崎大学病院 消化器内科)
抄録 【はじめに】C型急性肝炎は慢性化率が高く、いったん慢性化すると自然治癒はまれである。慢性化を阻止するためには、発症早期のインターフェロン治療が有効と言われている。今回、我々はPEG-IFNα2a単独投与にて慢性化を回避できたC型急性肝炎の症例を経験したので報告する。【症例】48歳女性。生来健康でこれまで肝機能障害を指摘されたことはなかった。2008年11月中旬頃より全身倦怠感を自覚。12月2日頃より尿濃染、皮膚掻痒感、嘔気が出現し、皮膚黄染も認めるようになったため、12月5日に近医を受診した。AST 766IU/l、ALT 1054IU/l、ALP 758IU/l、T-bil 7.86mg/dlと肝胆道系酵素の上昇を認め、同日当院に紹介入院となった。血液検査にて以前は陰性であったHCV抗体が低力価陽性となっており、HCV-RNA 5.7L.IU/mlであることから,C型急性肝炎と診断した。肝予備能低下は認めず、無治療にて経過観察を行ったところ、12月18日 T-bil 18.9mg/dlまで上昇したが、自然経過にて肝胆道系酵素は低下したため、12月26日に退院とした。その後、外来にて経過観察を行ったところ、HCV抗体価はさらに上昇し、C型急性肝炎として矛盾しない結果であった。肝胆道系酵素は徐々に低下したものの、HCV-RNAは<1.2L.IU/mlと陰性化せず、再びトランスアミナーゼの上昇を認めた。慢性化への移行が懸念されたため、2009年3月26日よりPEG-IFNα2aの単独投与を開始した。治療開始1週目でHCV-RNAは陰性化し、投与期間は12週間とした。PEG-IFNα2a投与開始後にトランスアミナーゼの一過性の上昇を認めたが、徐々に低下し、その他に問題となる副作用は見られなかった。その後もHCV-RNAは陰性化が持続し、SVRと判断した。 【結語】C型急性肝炎は慢性化率が高いとされているが、自然治癒する症例も存在するため、インターフェロン治療に関しては治療開始時期および治療期間を慎重に検討する必要があると考えられた。
索引用語 C型急性肝炎, PEG-IFNα2a