セッション情報 一般演題

タイトル 121:

全身化学療法が不応となった結腸癌の肝転移に対し肝動注化学療法が有効であった一例

演者 君付 優子(公立八女総合病院 内科)
共同演者 永松 洋明(公立八女総合病院 内科), 澤田 昌幸(公立八女総合病院 内科), 平井 真吾(公立八女総合病院 内科), 丸岡 浩人(公立八女総合病院 内科), 城野 智毅(公立八女総合病院 内科), 徳安 秀紀(公立八女総合病院 内科), 立石 秀夫(公立八女総合病院 内科), 吉田 博(公立八女総合病院 内科), 佐田 通夫(久留米大学 消化器内科)
抄録 【はじめに】現在進行大腸癌に対する標準抗癌剤治療は、分子標的治療薬を併用した全身化学療法となっている。今回、大腸癌原発の肝転移に対して、全身化学療法は不応となったが、肝動注療法が有効であった一例を経験したため報告する。【症例】75歳男性。2009年8月、下部消化管内視鏡にてS状結腸からRsにかけて腸管内腔狭窄する約78mmの2型進行大腸癌を認め、腹部造影CTにてIMAに沿ってリンパ節腫大、最大径57mmの結節ほか肝両葉に多発する肝転移、径5mmの肺野に多発する肺転移を認め、S状結腸癌(T3N2M1 stage4)と診断した。CEA は583ng/mLと上昇し、ベバシズマブ(BV)+mFOLOX6をbi-weeklyに開始した。2010年2月のCEAは16.7ng/mLまで低下し、結腸癌原発巣は縮小し腸管内腔拡張、肝転移は最大径17mmと縮小し結節数も減少、肺転移は消失した。2010年4月にCEA47.6ng/mLと再上昇、CTにて原発、肺病変に対しては効果を維持したが、肝内転移は増大傾向にあり、2010年4月よりBV+FOLFIRIに変更した。2010年6月6コース後CEAは174ng/mLと上昇しCTでは肝内病変のみ最大腫瘍径42mmとさらに増大傾向を認め、肝動注化学療法(HAIC)目的に左前腕部肝動脈内リザーバーを留置した。HAICはWeekly High Dose FP療法( CDDP;20mg/1hr + 5FU;1250mg/5hr ) で行い、2010年11月CTでは肝転移最大径は25mmまで縮小した。しかし肺転移の再燃も出現したためHAICとBV+FOLFIRIの交替療法とした。2011年7月現在原発巣は瘢痕化を認め、肝転移、肺転移ともに縮小を認めており、24カ月生存中である。【まとめ】進行大腸癌に対する化学療法は、FOLFOXやFOLFIRIを中心に予後を延長し、さらにBVなど分子標的治療薬を併用するようになりMSTは28カ月とされている。しかし肝転移H3の状態では肝転移の制御が困難となることがありMSTは12カ月と不良である。今回H3の肝転移を含む進行大腸癌に対し、HAICが奏効し、全身化学療法との組み合わせで24カ月生存できた症例を経験した。全身化学療法が不応な大腸癌肝転移に対してHAICが有効な可能性が示唆された。
索引用語 転移性肝癌, 肝動注化学療法