セッション情報 一般演題

タイトル 135:

腹水を伴う肝硬変患者における特発性細菌性腹膜炎(SBP)を予測する因子の検討

演者 滝澤 直歩(福岡徳洲会病院 内科)
共同演者 松本 修一(福岡徳洲会病院 肝臓内科), 西川 晃子(福岡徳洲会病院 肝臓内科), 松林 直(福岡徳洲会病院 心療内科)
抄録 【目的】肝硬変患者の特発性細菌性腹膜炎(以下SBP)は、生命予後にかかわる合併症である。今回我々は、腹水を伴う肝硬変患者の中からSBP患者を推定するために、腹水を伴う肝硬変患者において腹水穿刺前にSBPを予測できるかどうか検討した。【方法】対象は、当科において、2006年1月1日から2011年4月30日までの期間に、腹部膨満などの症状を有する腹水を伴う肝硬変患者に対して腹水穿刺を行った136例である。腹水中の好中球数が250/mm3以上であったものをSBPと診断した。年齢、性別、ウイルス肝炎の有無、飲酒歴、肝細胞癌合併の有無、AST値、ALT値、ALP値、γ-GTP値、Alb値、T-Bil値、CRP値、WBC数、PLT数、PT%、Child-Pughスコア、MELDスコアについてSPBに寄与する因子を検討した。【結果】腹水穿刺を行った136例のうち、SBPは36例(26%)であった。SBP群と非SBP群の比較において年齢、性別、ウイルス肝炎の有無、飲酒歴に有意な差は認めなかった。SBPに寄与する因子として単変量解析では,Child-Pughスコア(p=0.0037)、MELDスコア(p=0.0049)、白血球数(p=0.0114)、CRP値(p<0.0001)、ALT値(p=0.0473)、肝癌合併(p=0.0016)が有意であった。これらを多変量解析したところ、CRP値(p=0.0001)と肝癌合併(p=0.0109)が有意であった。【結論】腹水を伴う肝硬変症例において、SBPに寄与する因子は、CRP高値、肝細胞癌を合併していることが独立因子であり、CRP値と肝細胞癌合併の有無がSBP併発の予測に有用であった。CRP高値、肝癌合併の腹水を伴う肝硬変症例では、SBPの可能性が高いと考えて診療するべきである。
索引用語 特発性細菌性腹膜炎, 肝硬変