セッション情報 一般演題

タイトル 110:

内視鏡的止血術が有効であったショックを呈した急性出血性直腸潰瘍の1例

演者 猪熊 孝実(長崎大学病院 救命救急センター)
共同演者 長谷 敦子(長崎大学病院 救命救急センター), 中嶋 秀樹(長崎大学病院 救命救急センター), 泉野 浩生(長崎大学病院 救命救急センター), 山野 修平(長崎大学病院 救命救急センター), 馬場 史郎(長崎大学病院 救命救急センター), 野崎 義宏(長崎大学病院 救命救急センター), 山下 和範(長崎大学病院 救命救急センター), 石居 公之(長崎大学 消化器内科), 中尾 一彦(長崎大学 消化器内科), 田崎 修(長崎大学病院 救命救急センター)
抄録 【はじめに】急性出血性直腸潰瘍は無痛性の新鮮下血にて発症する疾患である。今回、大量下血のためショックとなったが、クリッピング止血術が奏功した急性出血性直腸潰瘍の1例を経験した。
【症例】80歳女性。大腿骨頚部骨折術後のMRSA創感染のため、近医入院中であった。患者は自己寝返りが不能であり、また、発熱、疼痛に対してNSAIDsが投与されていた。10月下旬の夜、突然、約1,500mLの大量の新鮮下血を認めた。下血後、ヘモグロビンは5.3g/dLまで低下し、血圧は50台mmHgとショックを呈した。同日、急速輸液を行いながら当院へ救急搬送となった。
当院来院時、心拍数93回/分、血圧118/48mmHg。血液検査所見はヘモグロビン4.2g/dL、血小板1.2万/μL、PT41%、PT-INR1.73であった。来院後すぐに未交差の同型赤血球濃厚液の緊急輸血を開始。造影CT検査では直腸内腔へ造影剤の漏出を認めた。緊急下部消化管内視鏡検査では直腸に露出血管を伴う潰瘍を認め、拍動性に出血していた。急性出血性直腸潰瘍と診断し、クリッピング止血術を行った。赤血球濃厚液8単位、新鮮凍結血漿5単位、濃厚血小板20単位の輸血を要した。術後は再下血を認めず、術後12日目に転院となった。
【結語】露出血管を伴う急性出血性直腸潰瘍に対して、クリッピングによる内視鏡的止血術は有効であり、治療法の第一選択となりえる。
索引用語 直腸, 潰瘍