| セッション情報 |
ワークショップ4「進行肝細胞癌の治療戦略」
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| タイトル |
WS4-02:肝細胞癌に対する自己凝血塊を用いた肝動脈化学塞栓療法の安全性と治療効果の検討
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| 演者 |
奥村 幸彦(国立病院機構 九州がんセンター 消化器肝胆膵内科) |
| 共同演者 |
杉本 理恵(国立病院機構 九州がんセンター 消化器肝胆膵内科), 志多 由孝(同 放射線科), 平田 文(同 放射線科), 篠崎 賢治(同 放射線科), 藤山 隆(国立病院機構 九州がんセンター 消化器肝胆膵内科), 久野 晃聖 (国立病院機構 九州がんセンター 消化器肝胆膵内科), 古川 正幸(国立病院機構 九州がんセンター 消化器肝胆膵内科) |
| 抄録 |
<目的>肝細胞癌に対する肝動脈化学塞栓療法(以下TACE)は中等度進行肝癌に対する標準治療として普及しているが、我が国では油性造影剤リピオドールと抗癌剤の混合物を注入後に、ゼラチンスポンジ細片で肝動脈を塞栓する方法が標準的治療法となっている。しかし肝機能低下症例(T-billが2.0mg/dl以上、Ch-Eが100IU/l未満)では、TACEは原則適応外とされている。今回我々は、肝予備能低下を認める肝細胞癌5症例に対し、自己凝血塊を用いた肝動脈化学塞栓療法を行い、肝予備能および治療効果について検討した。<対象>症例は男性2名、女性3名。平均年齢73.2歳(62歳~79歳)。すべてHCV抗体陽性。肝予備能はすべてChild B。肝細胞癌の進行度はStage2が2例、Stage3が3例。PSはすべて1。<結果>治療前日の肝予備能は、それぞれ平均値で血清Alb 2.9 g/dl、T-bill 1.7 mg/dl、Ch-E 96 IU/l 、PT値77 %。治療翌日の肝予備能は、それぞれ平均値でAlb 2.8 g/dl、T-bill 1.9 mg/dl、Ch-E 96 IU/l、治療約7日後の肝予備能は、それぞれ平均値でAlb 2.7 g/dl、T-bill 1.6 mg/dl、Ch-E 74 IU/lと極度の肝予備能低下は認めなかった。また腫瘍マーカーAFP、PIVKA2は、測定した3症例全例において治療前と比較して治療約1ヵ月後では低下していた。<結論>少数例ではあるが、肝予備能低下状態での肝細胞癌に対して自己凝血塊を用いた肝動脈化学塞栓療法は、安全な治療法であると同時に、他の塞栓治療と同等の治療効果も期待できる可能性がある。 |
| 索引用語 |
自己凝血塊, 肝動脈化学塞栓療法 |