セッション情報 ワークショップ1「炎症性腸疾患の新しい治療戦略」

タイトル WS1-11:

血球成分除去療法の治療効果および治療後の寛解期間に影響を及ぼす因子の検討

演者 長山 幸路(久留米大学病院内科学講座消化器内科部門)
共同演者 小林 哲平(久留米大学病院内科学講座消化器内科部門), 山崎 博(久留米大学病院内科学講座消化器内科部門), 桑木 光太郎(久留米大学病院内科学講座消化器内科部門), 吉岡 慎一郎(久留米大学病院内科学講座消化器内科部門), 竹田津 英稔(久留米大学病院内科学講座消化器内科部門), 光山 慶一(久留米大学病院内科学講座消化器内科部門), 鶴田 修(久留米大学病院消化器病センター), 佐田 通夫(久留米大学病院内科学講座消化器内科部門)
抄録 【目的】潰瘍性大腸炎(UC)は再燃と寛解を繰り返す原因不明の難治性炎症性疾患である。本症に対する基準治療としては5ASA製剤やステロイド剤が用いられるが、これらの薬物で治療困難な症例に対する内科的治療としては免疫調節薬、抗TNF-α抗体製剤、タクロリムス、血球成分除去療法が考慮される。血球成分除去療法は本邦で開発された重篤な副作用のみられない非薬物的治療法で、左側結腸型または全大腸型で中等症以上の難治性UCが適応となる。しかし、血球成分除去療法がどういう症例に有効なのか、また寛解を維持し易いのかという予後規定因子についてはコンセンサスが得られていない。今回我々は白血球除去フィルターを用いた血球成分除去療法(LCAP)を施行した症例について解析を行い、治療効果および治療後の寛解期間に影響を及ぼす因子について検討した。【対象】2000年1月1日から2011年3月31日に当施設においてLCAPを施行した活動期UC患者計41症例のうち、軽症型3例、直腸炎型1例、副作用(咳)で中止した1例の計5症例を除く36症例についてLCAPの治療効果および反応性を検討した。さらに、LCAPで寛解に至った27症例のうち一部データが欠損する1例を除く26症例についてLCAPの寛解期間に及ぼす影響を検討した。【方法】LCAP開始時の患者背景(性別、罹病期間、病変部位、臨床経過、生活歴、服薬歴など)、LCAPの施行状況・有効性、治療前後の血液検査・内視鏡スコア、治療後の寛解期間などの項目について後ろ向きに調査し、統計学的解析を行った。【結果】(1) 治療効果に影響を及ぼす因子:BMI低値の症例で治療効果が得られ難い。(2) 治療反応性に影響を及ぼす因子:男性で治療効果が早く得られる。(3) 寛解期間に影響を及ぼす因子:男性、臨床経過(初回型>再燃型>慢性型)、治療前のCRP高値、治療後のESR低値、治療後の内視鏡スコア低値の症例では寛解期間が長い、という結果であった。【結語】今回得られたLCAPの効果および寛解期間に影響を及ぼす因子を考慮に入れることで、より効率的なUCの治療が実施可能となることが期待される。
索引用語 LCAP, 潰瘍性大腸炎