セッション情報 | 研修医発表(卒後2年迄) |
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タイトル | 研56:Aeromonas sp.感染を契機に発症したと考えられた虚血性腸炎の一例 |
演者 | 漆間 雅人(宮崎大学医学部付属病院) |
共同演者 | 中西 千尋(串間市民病院), 早川 学(串間市民病院), 土持 舞衣(串間市民病院), 相良 誠二(串間市民病院), 井上 龍二(串間市民病院), 黒木 和男(串間市民病院) |
抄録 | 虚血性腸炎の診断基準においては糞便あるいは生検組織での細菌培養が陰性である事が必須項目として挙げられているが,今回我々はAermonas sp.の感染を契機に発症したと考えられた虚血性腸炎の一例を経験した.【症例】64歳女性【生活歴】機会飲酒,他特記事項なし【既往歴】特記事項なし【家族歴】特記事項なし【現病歴】生来健康であった.平成23年6月22日深夜より下腹部痛が出現.翌23日早朝より下痢と新鮮血下血も認め当科を受診.精査加療のため同日入院となった.【身体所見】発熱なし,眼瞼結膜貧血なし,腹部は異常所見なし.直腸診にて新鮮血付着.【検査所見】WBC:11100/μl,Hb:12.2g/dl,Plt:15.3万/μl,glu:169mg/dl,脂質異常なし,肝機能・腎機能は正常範囲内,CRP:0.38mg/dl.【入院後経過】下部消化管内視鏡検査を行ったところ,左側結腸に粘膜の発赤・浮腫,びらんや浅い不整形の潰瘍の多発を認めた.病理組織検査の結果Ghost-like appearanceを認めたが,便培養ではAeromonas sp.が検出され,虚血性腸炎と感染性腸炎のいずれも考えられる所見であった.絶食・補液,LVFX:250mg/day内服にて治療したところ症状は速やかに改善した.【考察】虚血性腸炎の診断には腸管感染症の否定が前提である.しかし本症例においては,病理組織学的には虚血性腸炎に矛盾しない所見でありながら便培養にてAeromonas sp.が検出された.医中誌での検索では同様の報告が2例あり,同菌の感染により産生された毒素による腸管蠕動の亢進やアレルギー反応が虚血性腸炎類似の病変を生じさせる可能性が指摘されている.本症例でも同菌の感染を契機に虚血性腸炎を発症した可能性が考えられた.【結語】Aeromonas sp.感染を契機に発症したと考えられた虚血性腸炎の一例を経験したので,若干の文献的考察も交えながら報告する. |
索引用語 | 虚血性腸炎, アエロモナス |