セッション情報 | ワークショップ6「難治性肝胆膵疾患に対する治療」 |
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タイトル | WS6-19:血液型不適合生体肝移植:当科の戦略と成績 |
演者 | 高槻 光寿(長崎大学移植・消化器外科) |
共同演者 | 曽山 明彦(長崎大学移植・消化器外科), 村岡 いづみ(長崎大学移植・消化器外科), 山口 泉(長崎大学移植・消化器外科), 田中 貴之(長崎大学移植・消化器外科), 木下 綾華(長崎大学移植・消化器外科), 川原 大輔(長崎大学移植・消化器外科), 峯 由華(長崎大学移植・消化器外科), 黒木 保(長崎大学移植・消化器外科), 大野 慎一郎(長崎大学移植・消化器外科), 金高 賢悟(長崎大学移植・消化器外科), 南 恵樹(長崎大学移植・消化器外科), 藤田 文彦(長崎大学移植・消化器外科), 山之内 孝彰(長崎大学移植・消化器外科), 伊藤 信一郎(長崎大学移植・消化器外科), 市川 辰樹(長崎大学消化器内科), 中尾 一彦(長崎大学消化器内科), 江口 晋(長崎大学移植・消化器外科) |
抄録 | 背景と目的:血液型不適合生体肝移植の成績は種々の工夫により成績が向上しているが、その治療内容はまだ標準化されておらず、施設ごとに異なる。当科における戦略と成績を報告する。患者と方法:2011年8月までに施行した生体肝移植初回例143例のうち、21例(15%)が血液型不適合症例であった。男性10例女性11例、年齢の中央値は53歳(0-70歳)であった。原疾患はC型肝硬変9例(うち肝細胞癌併発7例)、B型肝硬変3例(肝細胞癌2例)、胆道閉鎖症3例、原発性胆汁性肝硬変2例、その他4例であった。2歳未満の症例2例は免疫抑制療法(タクロリムス+ステロイド)を含め適合症例と同様の管理とした。それ以上の症例19例は免疫抑制剤にミコフェノレートモフェチルを加え、抗AB抗体価8倍以下を目標に術前血漿交換または2重膜ろ過を行い、最初の1例を除きリツキシマブ375mg/m2を術7日前に投与した。経門脈または経肝動脈カテーテル留置によるPGE1とステロイドの局注療法を13例に行い、最近の6例には局注療法を施行しなかった。脾摘術は術前血小板5万/μl以下の症例またはC型肝硬変症例に対してのみ行い、9例に施行した。結果:17例(81%)が肝機能良好で生存中である(観察期間の中央値32ヶ月(1-123ヶ月))。抗体関連性拒絶は認めなかったが、thrombotic microangiopathy(TMA)を2例に発症し、いずれも血漿交換が奏功して生存中である。1例肝動脈留置カテーテルに関連する動脈血栓症で失った。Bリンパ球のマーカーであるCD19,CD20は術後2か月まで低値が持続し、その後徐々に正常に復していった。サイトメガロウイルス抗原血症を13例(62%)に認めたが直接死因になることはなく、抗ウイルス療法で制御可能であり、11例が生存中である。局注療法を施行しなかった6例中5例生存し、脾摘術の有無でも生存率に差を認めなかった。まとめ:血液型不適合生体肝移植の成績は良好であり、リツキシマブの導入により従来より一般的に施行されている脾摘術や局注療法は不要であると思われた。 |
索引用語 | 肝移植, 血液型不適合 |