セッション情報 研修医発表(卒後2年迄)

タイトル 研26:

胆摘後の遺残胆嚢管癌の1例

演者 音琴 哲也(国立病院機構 九州医療センター 肝胆膵外科)
共同演者 高見 裕子(国立病院機構 九州医療センター 肝胆膵外科), 立石 昌樹(国立病院機構 九州医療センター 肝胆膵外科), 龍 知記(国立病院機構 九州医療センター 肝胆膵外科), 和田 幸之(国立病院機構 九州医療センター 肝胆膵外科), 才津 秀樹(国立病院機構 九州医療センター 肝胆膵外科)
抄録 【症例】79才、女性。【主訴】発熱、全身倦怠感【既往歴】12年前、他院で胆石症に対し腹腔鏡下胆嚢摘出術。2年前、総胆管結石に対し内視鏡下採石術施行。【現病歴】2011年5月、全身倦怠感と発熱を主訴に近医受診。黄疸は認めなかったものの、肝機能異常を認めた。ERCPにて肝内胆管の拡張と中部胆管に欠損像を認め、総胆管結石あるいは胆泥が疑われたものの、生検したところadenocarcinomaの診断であったため当科紹介受診となった。【各種画像診断】CTでは、上中部総胆管内部に充実性腫瘍の充満を認め、連続して総胆管右側管外に腫瘍形成を認めた。37×26mm大で、造影にて早期濃染を示し、遅延相まで造影効果を有する腫瘍であった。MRCPでは中部総胆管に充満する軟部腫瘍を疑わせる透瞭像を認めた。胆嚢管は描出されなかった。T2強調像前頭断にて、CTで疑われた総胆管右側管外の腫瘍は遺残胆嚢管と思われ、総胆管内部の充実性腫瘍と連続している像を認めた。なお、CEA 0.5 ng/ml, CA19-9 6 IU/ml, DUPAN-2 25 U/ml未満と腫瘍マーカーはいずれも陰性であった。以上、術前診断として、リンパ節転移を伴う胆嚢管癌あるいは胆管癌が疑われ膵頭十二指腸切除術を施行した。術中所見では、総胆管の右側に連続して腫瘍形成を認め、その先端には胆摘時のクリップを認め、遺残胆嚢管と思われた。上部総胆管を切開したところ、非常に脆弱で柔らかな腫瘍が充満していた。病理診断は、papillary or well differentiated tubular adenocarcinomaで、遺残胆嚢管に腫瘍の基部を認め、そこから総胆管内に腫瘍が充満するように張り出しており、胆嚢管癌と診断された。【まとめ】遺残胆嚢管癌の本邦報告例は非常に稀であり、多少の文献的考察を加え報告する。
索引用語 胆嚢管癌, 胆摘後