セッション情報 |
研修医発表(卒後2年迄)
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タイトル |
研15:大腸癌術後の転移性肝癌と誤診された非B非C型肝細胞癌の2例
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演者 |
佐々木 晋(国立病院機構 九州医療センター 肝胆膵外科) |
共同演者 |
高見 裕子(国立病院機構 九州医療センター 肝胆膵外科), 立石 昌樹(国立病院機構 九州医療センター 肝胆膵外科), 龍 知記(国立病院機構 九州医療センター 肝胆膵外科), 和田 幸之(国立病院機構 九州医療センター 肝胆膵外科), 才津 秀樹(国立病院機構 九州医療センター 肝胆膵外科) |
抄録 |
【はじめに】大腸癌術後に肝腫瘍を認めた場合、転移性肝癌ではとの先入観のため、非B非C型肝細胞癌(以下HCC)と診断することは困難なことが多い。今回我々は、他院より大腸癌術後の転移性肝癌と診断され紹介されたが、術後病理組織診断でHCCであった2例を経験したので紹介する。【症例1】79才、男性。2007年11月に他院にて直腸癌に対して低位前方切除術を施行された。術前より肝腫瘤は指摘されていたが、2008年1月のSPIO-MRIにてS7に18mm大の腫瘤を認め転移性肝癌が疑われた。mFOLFOX療法を7クール施行するも不変であったために、2008年7月に手術目的で当院紹介となった。CT、MRIにてS7に造影早期相でenhanceされ後期相でwash outされる24mm大の境界明瞭な腫瘤を認め画像所見からはHCCが疑われた。2008年9月に開胸下マイクロ波凝固壊死療法(MCN)を行ったが、肝はblue liverを呈しており、術後病理組織診は中分化型HCCであった。【症例2】44才女性。2010年7月に他院にて下行結腸癌に対して左半結腸切除術を施行された。術後にZELOXによる補助化学療法を施行するも、有害事象のために8クールで終了した。2011年6月にCTでS8に32mm大の腫瘤を認めたため、転移性肝癌が疑われ当院紹介となった。CT、MRIにてS8に腫瘍の辺縁を中心に内部は不均一に造影され、後期相でwash outされる34mm大の腫瘍を認めた。アシアロ肝シンチの結果より系統的切除は困難と判断され、2011年7月にS8部分切除を行った。肝はblue liverを呈しており、術後病理組織診断は中~低分化型HCCであった。 【結論】2症例はいずれも非B非Cで、アルコール多飲歴、糖尿病、自己免疫疾患等の既往はなく、HCC発癌のリスクを考慮し難い症例であったこと、また直前に大腸がん手術の既往があったことからHCCと診断することが困難であった。近年、非B非C型HCC症例が増加しており、たとえ大腸癌術後であっても先入観を持たずに画像を忠実に読影することが重要であると改めて考えさせられた症例であったので報告した。 |
索引用語 |
肝細胞癌, 転移性肝癌 |