セッション情報 | 専修医発表(卒後3-5年迄) |
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タイトル | 専20:長期にわたり統合失調症として加療されたウイルソン病の1例 |
演者 | 久米井 伸介(産業医科大学第3内科学) |
共同演者 | 日浦 政明(産業医科大学第3内科学), 本間 雄一(産業医科大学第3内科学), 松橋 亨(産業医科大学第3内科学), 柴田 道彦(産業医科大学第3内科学), 阿部 慎太郎(産業医科大学第3内科学), 原田 大(産業医科大学第3内科学) |
抄録 | 【症例】42歳、男性.【主訴】歩行障害、動作緩慢、肝機能障害.【現病歴】20歳頃より記名力障害や軽度の人格障害が出現し、30歳頃より暴言、被害妄想などを認め、統合失調症と診断され内服加療をされていた。2010年12月に原因不明の肝硬変及び肝機能障害を指摘され、近医で非アルコール性脂肪性肝炎及び薬物性肝障害と診断された。投薬調整されていたが2011年1月より歩行障害、転倒ならびに動作の緩慢を認め薬剤性パーキンソニズムが疑われ、肝硬変の精査とともに当院を受診した。Kayser-Fleischer ringの存在、血清セルロプラスミン低値、尿中銅排泄量の増加、肝組織中銅含量増加ならびにMRIでの大脳基底核の信号異常を認め、一連の精神、神経症状と合わせ肝神経型のウイルソン病と診断した。Trientine hydrochlorideと酢酸亜鉛の内服及びリハビリテーションの開始により、パーキンソニズムや精神症状は徐々に改善を認めた。【考察】本症例は、初発症状が精神症状であり長年統合失調症として加療されていた。若年からの記銘力低下やパーキンソニズムの出現、肝機能障害を認めた場合は、ウイルソン病を念頭に置き診療に当たることが重要である。 |
索引用語 | ウイルソン病, 統合失調症 |