セッション情報 ワークショップ1「炎症性腸疾患の新しい治療戦略」

タイトル WS-04:

当院におけるアダリムマブの治療成績10例の検討

演者 相馬 渉(有田胃腸病院)
共同演者 阿部 寿徳(有田胃腸病院), 脇坂 昌紀(有田胃腸病院), 二宮 繁生(有田胃腸病院), 其田 和也(有田胃腸病院), 有田 毅(有田胃腸病院), 沖本 忠義(大分大学医学部消化器内科), 児玉 雅明(大分大学医学部消化器内科), 村上 和成(大分大学医学部消化器内科), 藤岡 利生(大分大学医学部消化器内科)
抄録 Crohn病の治療は、インフリキシマブなどの生物学的製剤の登場により臨床症状だけでなく、粘膜治癒を目指すまで治療目標が向上してきている。さらに2010年10月より、クローン病に対するアダリムマブ投与が保険適応になった。当院ではこれまでに10症例でアダリムマブ投与を開始している。アダリムマブの治療成績について、臨床的活動性指標と内視鏡的指標の両面から検討を行った。年齢は26歳から72歳(平均47.7歳)。男性6例、女性4例。アダリムマブ新規投与は3例で、インフリキシマブからの移行例は7例。うち、6例はインフリキシマブ投与効果不十分、2次無効の症例であった。アダリムマブ投与(4~13回)により、活動性指標(CDAI, Crohn’s disease activity indexとIOIBD, International Organization for the Study of Inflammatory Bowel Disease score)は、全例で改善を示し、寛解達成率(CDAI 150未満)は78%であった。また、内視鏡的指標(SES-CD, Simplified endoscopic activity scoreとFukuoka index)および内視鏡所見においても改善傾向が認められた。活動性指標で寛解が得られていても、潰瘍が残存している症例もみられた。今回の検討から、アダリムマブはCrohn病に対して、十分な治療効果が期待できると考えられ、今後長期効果について症例の蓄積が望まれる。またCrohn病の病状把握においては、活動性指標だけでなく内視鏡検査も重要であると思われ、その評価法(内視鏡スコア)の確立も同時に望まれる。
索引用語 Crohn病, アダリムマブ