セッション情報 専修医発表(卒後3-5年迄)

タイトル 専89:

著明な結腸狭窄をきたし結腸切除を行った異所性子宮内膜症の一例

演者 岩崎 智仁(熊本市立熊本市民病院消化器科)
共同演者 藤崎 聡(熊本市立熊本市民病院消化器科), 市原 明比古(熊本市立熊本市民病院消化器科), 三原 通晴(熊本市立熊本市民病院消化器科), 竹川 博之(熊本市立熊本市民病院消化器科)
抄録 症例50歳,女性。下血を主訴に近医を受診。近医で大腸内視鏡施行され、S状結腸腫瘍疑いと診断され、当院を紹介され受診となった。当院にて再度大腸内視鏡を施行、肛門縁より25cmに腫瘤状の病変と同病変による腸管狭窄を認め内視鏡は通過不能であった。生検でも悪性所見は認めなかった。腹部CT検査では子宮とS状結腸の癒着およびS状結腸に腫瘤状の軟部組織を認めた。造影MRI検査ではS状結腸癌が疑われたが、確定診断には至らなかった。S状結腸の狭窄が高度であるため、診断・治療目的で切除術を施行した。切除したS状結腸には明らかな粘膜病変は認めず、固有筋層内から漿膜下組織にかけて異型のない子宮粘膜類似腺管と間質を認め、S状結腸子宮内膜症と診断した。術後経過は良好で術後15日目で退院となった。子宮内膜症については婦人科で年1回の経過観察となった。考察異所性子宮内膜症においては10%に腸管子宮内膜症が認められるとされる。多くの場合、以前に子宮内膜症の症状を伴い、月経周期に付随した腹痛が受診の契機となる。今回、子宮内膜症を疑わせるような所見は認めず、下血・腸管狭窄を主訴として受診となった。非典型的症状で診断困難であった腸管子宮内膜症を経験したので、文献的考察を交えて報告する。
索引用語 異所性子宮内膜症, 下血