セッション情報 研修医発表(卒後2年迄)

タイトル 研78:

鏡視下で切除し得た同時性重複GIST(胃、空腸)の1例

演者 鈴木 翔(宮崎大学 腫瘍機能制御外科学)
共同演者 前原 直樹(宮崎大学 腫瘍機能制御外科学), 日高 秀樹(宮崎大学 腫瘍機能制御外科学), 柴田 伸弘(宮崎大学 腫瘍機能制御外科学), 高橋 伸育(宮崎大学 腫瘍機能制御外科学DELIMITER宮崎大学 腫瘍・再生病態学), 春山 幸洋(宮崎大学 腫瘍機能制御外科学DELIMITER宮崎大学 腫瘍・再生病態学), 片岡 寛章(宮崎大学 腫瘍・再生病態学), 千々岩 一男(宮崎大学 腫瘍機能制御外科学)
抄録  症例は、64歳女性。心窩部不快感があり、近医で上部消化管内視鏡検査を施行され、胃上部に粘膜下腫瘍を指摘された。CT検査を施行したところ、2cm大の胃上部粘膜下腫瘍の他、小腸にも4cm大の腫瘍性病変を指摘され、精査加療目的で当科紹介となった。内視鏡検査で胃穹窿部前壁に2cm大の粘膜下腫瘍を認め、bowling biopsyの結果、KIT陽性でGISTと診断された。小腸内視鏡検査では、トライツ靭帯より10cm肛門側に3cm大の粘膜下腫瘍を認めた。PET-CT検査では、胃の腫瘍に異常集積(SUVmax early:4.2, delay:5.0)を認めたが、小腸のSMTには明らかな異常集積は認めなかった。肝転移や腹膜転移を疑わせる所見はなかった。胃GIST、空腸粘膜下腫瘍の診断で、腹腔鏡補助下胃部分切除、空腸部分切除を行った。手術は4ポートで行い、胃GISTに対しては、術中内視鏡で観察のもと、T-Barでつり上げ、自動縫合器で切除した。小腸SMTに対しては、4cmの小開腹創から体外へ引き出し、切除した。胃GISTは3x2cm、管内発育型、空腸SMTは4x3cm、管外発育型と管内発育型の部分からなるsnowman様で、広基性であった。病理組織学的に空腸の粘膜下腫瘍もKIT陽性であり、最終病理診断は胃GIST(低リスク群)、空腸GIST(低リスク群)であった。胃と空腸の同時性重複GISTと考えられた。術後2年6ヶ月経過するが、再発・転移の徴候は認めていない。我々の検索した限りでは、鏡視下で同時に胃と空腸のGISTを切除した症例の報告はなく、若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 胃GIST, 空腸GIST