セッション情報 専修医発表(卒後3-5年迄)

タイトル 専83:

潰瘍性大腸炎治療中に発症した急性型特発性血小板減少性紫斑病の一例

演者 大平 哲也(琉球大学医学部付属病院光学医療診療部)
共同演者 岸本 一人(琉球大学医学部付属病院光学医療診療部), 伊良波 淳(琉球大学医学部付属病院光学医療診療部), 金城 徹(琉球大学医学部付属病院光学医療診療部), 知念 寛(琉球大学医学部付属病院光学医療診療部), 金城 福則(琉球大学医学部付属病院光学医療診療部)
抄録 症例は34歳女性.2010年3月より血性下痢と腹痛が出現し,潰瘍性大腸炎の診断にて5-ASA製剤の内服と注腸を開始され症状は軽快していた.2010年8月より症状の増悪を認め,プレドニゾロン(PSL)注腸を追加するも改善を認めず,加療目的に入院となった.重症度分類重症,左側大腸炎型であったため入院後PSLの強力静注療法を施行後,症状と内視鏡所見の改善を確認しながらPSL内服の漸減を行った.第70病日(PSL 20mg/日内服中)頃より血小板数の減少傾向が出現し,73病日には3000/μlまで減少し,四肢の点状出血,口腔内出血,鼻出血も出現した.薬剤性の血小板減少症も否定できなかったため,被疑薬(ファモチジン,5-ASA製剤の内服および注腸製剤)を中止するも改善を認めなかった.抗ヘリコバクター・ピロリIgG抗体と尿素呼気試験,抗核抗体は陰性であった.PAIgGの上昇および骨髄生検で異型細胞を認めず巨核球の増加があり,特発性血小板減少性紫斑病(ITP)と診断した.サイトメガロウイルス(CMV)IgM抗体は2.6 COIと軽度上昇を認めたが,8週間後のペア血清で上昇を認めず,CMV抗原(p65)血症も経過中は陰性であった.74病日よりデキサメタゾン40mgを4日間内服後,PSL20mg/日の内服を継続したところ,93病日頃より徐々に血小板数の上昇を認めたため,PSLを漸減し,2011年4月よりPSLは中止しているが,血小板数は20万/μlを維持している. 潰瘍性大腸炎の腸管外合併症としてのITPは稀であるが,ステロイド投与に伴うCMV感染を契機とする可能性や,血小板減少に伴う血便の増悪など,臨床的対応に苦慮することも考えられ,成因および発症時の治療に関して,文献的考察を加え報告する.
索引用語 潰瘍性大腸炎, 特発性血小板減少性紫斑病