セッション情報 専修医発表(卒後3-5年迄)

タイトル 専51:

保存的療法で改善した縦隔内膵仮性嚢胞の一例

演者 樋高 秀憲(済生会唐津病院内科)
共同演者 萬年 幸太郎(済生会唐津病院内科), 遠藤 広貴(済生会唐津病院内科), 柳田 公彦(済生会唐津病院内科), 力丸 竜也(済生会唐津病院外科), 宮崎 充啓(済生会唐津病院外科), 千布 裕(済生会唐津病院内科)
抄録 【症例】52歳 男性【現病歴】平成23年3月20日、喉から胸の閉塞感出現。同年3月23日 加療目的にて当院紹介。【既往歴】慢性膵炎。飲酒、喫煙あり。【現症】意識清明、体温37.2℃、血圧122/98mmHg、心拍数100bpm、SPO2 99%。上腹部、背部自発鈍痛あり。上腹部圧痛あり、柔。腸音聴取もやや減弱。【経過と治療】炎症所見の上昇と尿中アミラーゼの軽度上昇を認め、心電図異常(II, aVF, V3でST上昇)、胸部レントゲンで縦隔影異常を認めた。上部消化管内視鏡検査では粘膜面は正常だが、EGJ上~下部食道は軟性に狭窄、押し込むとスコープはなんとか通過した。また、体上部後壁になだらかな外部からの圧迫隆起を認めた。腹部CTでは膵尾部と連続する12×9×5cm大の仮性膵嚢胞あり、上半分約8×6×4cmが食道裂孔を介して心後方で食道を前方から囲むように縦隔内に脱出し下部食道を圧迫していた。慢性膵炎増悪と感染を伴う縦隔内仮性膵嚢胞の増大とその圧迫による食道通過障害と診断。絶食、点滴、抗生剤、メシル酸ガベキサート投与などで加療、症状や炎症は約1週間で改善、食上げし再発なく同年4月13日退院した。保存治療のみで嚢胞は径3cm程度に縮小し、心電図のST変化も改善した。【考察等】大きな膵仮性嚢胞が食道裂孔を介して縦隔内に脱出した、縦隔内膵仮性嚢胞の症例で保存的治療で改善した。 本邦では比較的稀で男性に多く、症状は胸腹部痛、呼吸苦、嚥下障害、食欲不振などで診断には画像検査が有用である。大酒家の上部消化管通過障害の原因として念頭におく必要がある。
索引用語 膵仮性嚢胞, 食道裂孔ヘルニア