セッション情報 一般演題

タイトル 017:

消化管狭窄をきたした高齢者好酸球性胃腸炎の一例

演者 與儀 竜治(豊見城中央病院DELIMITER琉球大学医学部付属病院 光学医療診療部)
共同演者 加藤  功大(豊見城中央病院), 眞喜志  知子(豊見城中央病院), 玻座真  博明(豊見城中央病院), 峯松  秀樹(豊見城中央病院), 石原  裕史(豊見城中央病院), 大城  拓巳(豊見城中央病院), 羽根田  賢一(豊見城中央病院), 金城  福則(琉球大学医学部付属病院 光学医療診療部)
抄録 【症例】88歳,男性.【主訴】嘔吐【現病歴】2010年10月末頃より嘔気・嘔吐を認めるため12月初旬に精査加療目的に当院紹介受診.腹部造影CTで十二指腸下行部から水平部にかけて全周性の壁肥厚で腫瘤様に認めたため精査加療目的に入院となった.
【入院後経過】末梢血好酸球高値は認めなかった.上部消化管内視鏡検査で十二指腸下行部から水平部にかけて,潰瘍と4cm程度のほぼ全周性の粘膜肥厚と狭窄があり,スコープの通過は困難な状況であった.同病変の生検組織学的検査で好酸球浸潤を認め,好酸球性胃腸炎を考慮し,診断的治療としてプレドニゾロン30mg/日の内服を開始した.症状は速やかに改善し,内視鏡的所見も速やかに改善した.12月末にはスコープが通過し,プレドニゾロンを漸減後も経過良好で,2011年3月には上腹部CT・上部消化管内視鏡検査ともに十二指腸病変部の壁肥厚・狭窄は著明に改善した.
【考察】好酸球性胃腸炎においてKleinらの分類で,本症例は筋層病変を主体とするpredominat muscle layer typeに該当すると思われた.好酸球性胃腸炎の好発年齢は20-50歳代とされ,医学中央雑誌で検索しうる中で,80歳以上の報告はなかった.本症例のような高齢者であっても,原因不明の十二指腸狭窄を認めた場合は好酸球性胃腸炎を鑑別にあげる必要があると思われる.今回,我々は稀有な高齢者に発症した好酸球性胃腸炎と思われる一例を経験したため若干の文献的考察を含めて報告する.
索引用語 好酸球性胃腸炎, 高齢者