セッション情報 一般演題

タイトル 083:

Fusobacteriumを起炎菌とした肝膿瘍の1例

演者 千住 猛士(飯塚病院肝臓内科)
共同演者 田尻 博敬(飯塚病院肝臓内科), 矢田 雅佳(飯塚病院肝臓内科), 本村 健太(飯塚病院肝臓内科), 小柳 年正(飯塚病院肝臓内科), 増本 陽秀(飯塚病院肝臓内科)
抄録  症例は74歳男性。ADLは自立し、高血圧、前立腺肥大症にて近医で加療されていた。2011年8月3日より全身倦怠感、食欲低下を自覚し、5日後に37.8℃の発熱を認めたため近医を受診しレボフロキサシンの投与を受けた。同月10日、両大腿痛のため歩行困難となり、CTで肝膿瘍が疑われ同月11日紹介により当科に入院した。入院時、貧血、黄疸はなく、頭頸部、胸部に異常所見を認めなかった。腹部は平坦で右下腹部に手術痕を認め、触診所見は軟で肝脾を触知せず、圧痛を認めなかった。検査所見は末梢血WBC 16,770 /μL、Hb 12.8 g/dL、Plt 23.0万 /μL、血液生化学TP 5.8 g/dL、Alb 2.8 g/dL、T-Bil 0.5 mg/dL、AST 27 IU/L、ALT 38 IU/L、γ-GTP 42 IU/L、ALP 251 IU/L、CRP 18.2 mg/dLであった。腹部造影CTでは、肝S4とS1に各々径2cmの低吸収結節を認め辺縁に造影効果がみられた。腹部超音波検査でこれらの病変は低エコー腫瘤として描出され、超音波誘導下穿刺にて白濁した膿の排出を認め肝膿瘍の診断が確定した。スルバクタム/アンピシリン (SBT/ABPC)を投与したところ、末梢血WBCと血中CRP値は一旦低下傾向を示したが再上昇し、膿瘍の穿刺排膿を再度施行した後次第に軽快した。膿の細菌培養の結果Fusobacteriumが検出された。
 Fusobacteriumは歯周病の起炎菌として知られる嫌気性グラム陰性桿菌であり、従来より口腔咽頭常在菌と認識されていたが、菌血症からLemierre症候群をきたす症例が報告され最近その病原性が注目されている。肝膿瘍の報告は稀であり文献的考察を加え報告する。
索引用語 肝膿瘍, Fusobacterium