セッション情報 | ワークショップ5「難治性消化管疾患の外科治療」 |
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タイトル | WS5-09:当科における潰瘍性大腸炎に対する腹腔鏡下大腸全摘・回腸嚢肛門管吻合術の術式と短期成績 |
演者 | 竹下 浩明(長崎大学腫瘍外科) |
共同演者 | 澤井 照光(長崎大学腫瘍外科), 長嵜 寿矢(長崎大学腫瘍外科), 田中 研次(長崎大学腫瘍外科), 福田 大輔(長崎大学腫瘍外科), 國崎 真己(長崎大学腫瘍外科), 黨 和夫(長崎大学腫瘍外科), 阿保 貴章(長崎大学腫瘍外科), 日高 重和(長崎大学腫瘍外科), 七島 篤志(長崎大学腫瘍外科), 安武 亨(長崎大学腫瘍外科), 永安 武(長崎大学腫瘍外科) |
抄録 | 【はじめに】潰瘍性大腸炎に対する腹腔鏡下大腸全摘・回腸嚢肛門管吻合術(LAC-IPACA)は,安全で術後QOLも比較的良好な結果が得られる術式として認知されるようになった.我々は,大腸疾患に対する腹腔鏡下手術を2007年11月から本格的に開始し,2010年3月からは,潰瘍性大腸炎に対してLAC-IPACAを開始し,現在までに6例に施行した.当科におけるLAC-IPACA症例について検討を行った.【対象】2010年3月~2011年6月までに当科で潰瘍性大腸炎に対してLAC-IPACAを行った6例.【方法】手術術式,手術成績(手術時間,出血量,術後合併症有無とその内訳など),術後短期成績(術後の排便機能など)について検討した.【結果】全例で2期分割手術とし,第1期手術は腹腔鏡下大腸全摘・回腸嚢肛門管吻合(LAC-IPACA)を行い,第2期手術で一時的ループ式回腸人工肛門閉鎖術を行っていた.外科的治療の適応は,内科的治療抵抗例が4例, Colitic cancer1例, DALM1例だった.手術術式では,当初,諸家の報告をもとに,右側結腸の内側アプローチから開始,直腸の切離後,肝弯・脾弯の受動,結腸間膜の切離で行っていた.その後,3例は横行結腸から大網の遊離を先行し,右側結腸内側剥離,左側結腸内側剥離,直腸の切離,小開腹の順で行っていた.横行結腸から大網の遊離を先行することで,結腸間膜後葉で右胃大網動静脈との境界や膵下縁との境界が明らかになることと,大網合併切除を行わないので横行結腸の取り回しが容易になり,間膜の処理が容易になる利点があった.手術時間の中央値は468分(414~827分),出血量の中央値は195g(70~770g)だった.術後合併症は,4例で何らかのイレウスがみられ,1例に遷延する腸炎がみられた.【まとめ】当科においては,手術時間が長い欠点はあるものの,整容性に優れ,安全性も問題がなかった.当科においては,大網温存を基本としているが,大網温存がイレウスの一因となっている可能性も考えられ,今後検討を要すると考えられた. |
索引用語 | 潰瘍性大腸炎, 腹腔鏡下手術 |