セッション情報 | 研修医発表(卒後2年迄) |
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タイトル | 研73:スキルス胃癌と鑑別を要した乳癌の腹膜播種症例 |
演者 | 黒川 美穂(九州医療センター消化器科DELIMITER九州医療センター臨床研究センター) |
共同演者 | 福嶋 伸良(九州医療センター消化器科DELIMITER九州医療センター臨床研究センター), 岡本 梨沙(九州医療センター消化器科DELIMITER九州医療センター臨床研究センター), 原口 和大(九州医療センター消化器科DELIMITER九州医療センター臨床研究センター), 福田 慎一郎(九州医療センター消化器科DELIMITER九州医療センター臨床研究センター), 柿ヶ尾 佳奈(九州医療センター消化器科DELIMITER九州医療センター臨床研究センター), 森 大介(九州医療センター消化器科DELIMITER九州医療センター臨床研究センター), 高岡 雄大(九州医療センター消化器科DELIMITER九州医療センター臨床研究センター), 中村 吏(九州医療センター消化器科DELIMITER九州医療センター臨床研究センター), 山崎 晃裕(九州医療センター消化器科DELIMITER九州医療センター臨床研究センター), 水谷 孝弘(九州医療センター消化器科DELIMITER九州医療センター臨床研究センター), 国府島 庸之(九州医療センター消化器科DELIMITER九州医療センター臨床研究センター), 吉本 剛志(九州医療センター消化器科DELIMITER九州医療センター臨床研究センター), 河邉 顕(九州医療センター消化器科DELIMITER九州医療センター臨床研究センター), 福泉 公仁隆(九州医療センター消化器科DELIMITER九州医療センター臨床研究センター), 高橋 宏樹(九州医療センター乳腺外科DELIMITER九州医療センター臨床研究センター), 松浦 秀司(九州医療センター放射線科DELIMITER九州医療センター臨床研究センター), 中山 吉福(九州医療センター病理部DELIMITER九州医療センター臨床研究センター), 中牟田 誠(九州医療センター消化器科DELIMITER九州医療センター臨床研究センター), 原田 直彦(九州医療センター消化器科DELIMITER九州医療センター臨床研究センター) |
抄録 | 症例は85歳、女性。1992年に右乳癌に対し非定型右乳房切除術を施行。病理組織診断は浸潤性小葉癌(T1aN0M0 stage I)であった。術後補助療法としてTAM + 5-FUを投与。5年後に右腋窩リンパ節に再発し(病理組織診断は浸潤性乳管癌)、リンパ節郭清を施行。術後補助療法として局所放射線照射とフェアストン内服を施行。2005年までは骨シンチグラフィやFDG-PETで転移・再発の所見は得られなかったが、翌年に左乳癌発症。左乳房切除術を施行し、病理組織診断は浸潤性乳管癌(T2N0M0 stage IIA)であった。術後補助療法は行わず、2009年10月まで経過観察された。2011年2月に食思不振と腹部膨満を主訴に受診し、胸部X線で胸水貯留、血液検査で高度の炎症反応上昇を認めた。腹部造影CTでは胃壁周囲に不整な低吸収領域を認め、腹膜播種が疑われた。上部消化管内視鏡検査では瀰漫性に雛壁肥大を認めたが、同部位よりの生検で異型細胞は認められなかった。その他の所見としては、腹部造影CTで腹膜の不均一な肥厚、腹腔内の広範な脂肪織混濁を認め、胸部造影CTで胸膜に沿った1cm大の結節影を認めた。腫瘍マーカー(CA125、CA15-3)の上昇や滲出性胸水など、悪性腫瘍の胸腹膜播種を疑うに矛盾しない所見であった。以上より原発不明癌の胸腹膜播種と診断し、原発巣検索および加療中であったが、入院9日目で呼吸不全のため亡くなった。剖検の結果、胃・小腸・大腸・膵臓・膀胱・腹膜・後腹膜・大血管・胸膜・心外膜・胸壁に播種転移巣を認め、病理組織診断は浸潤性小葉癌であった。胃漿膜側には多数の癌細胞が認められたが、粘膜筋板を越えて粘膜固有層へ至る浸潤は認められなかった。胃粘膜表面に癌細胞の浸潤を認めず、上部消化管内視鏡検査で診断に苦慮した浸潤性小葉癌の腹膜播種症例を経験したので、若干の文献的考察を加えて報告する。 |
索引用語 | 乳癌胃転移, スキルス胃癌 |